Parkinson病の睡眠障害:レム睡眠行動異常症を中心に*
昼夜のサイクルと、体内時計のリズムがずれてしまっているために、夜から朝という一般的な睡眠時間帯に眠ることができず、日中の社会活動に影響をきたしてしまう睡眠障害です。一般的な夜更かしから夜勤などのシフト制労働、時差ぼけなどさまざまなことが原因となります。治療には根本的な生活リズム改善が大前提ですが、効果不十分な場合にはメラトニン受容体作動薬を中心に、必要に応じて睡眠薬やビタミンB12などの薬剤を用います。
このお薬は体内時計のリズムを司っているメラトニンの働きを整えるお薬で、睡眠の安定が期待できます。 また、レム睡眠行動障害の症状は、
高齢者に起こりやすい“ねぼけ”に似た症状で、「REM睡眠行動障害」というのがあります。眠っている間に夢体験に関連して殴る蹴るなどの暴力的な行動を起こし、パートナーやペットを驚かせたり、自身もケガをしたりするような症状が現れます。本来は夢を見ている時(REM睡眠時)は筋肉が弛緩して身体の動きは抑えられているので、夢の中で激しく動いても実際の動きに現れることはありません。ところがこの身体の動きを抑える脳機能が障害を受けると、実際の行動に出てしまうようになります。途中で目を覚まさせることが容易で、その時に「夢を見ていた」ことが自覚できるのも特徴です。医師の指導のもと投薬治療を行うのが効果的です。一般的な治療薬の他にも漢方薬を用いたり、メラトニン受容体作動薬を用いることもあります。
睡眠時の身体の症状によって睡眠が妨げられる症状を睡眠関連運動障害といいます。「歯ぎしり」や「周期性四肢運動障害」などがありますが、代表的なものは「レストレスレッグス症候群(RLS)」です。これは別名「むずむず脚症候群」ともいい、静かに横になったり座ったりしている状態で、痛みを伴うこともある不快な下肢の異常感覚により、脚を動かしたいという強い欲求が起こる神経疾患です。むずむず、チクチクする感覚、ひりひり熱い、虫が這うような感覚が起こり、脚を動かすことで症状が軽減されます。夕方から夜に症状が重くなるので、不眠症の原因となります。
[PDF] Rapid eye movement (REM)睡眠行動障害の診断,告知,治療
レム睡眠行動障害では、夢の内容が口論をする、追いかけられる、けんかをするなど激しく不快な場合も多く、心身のストレスが強いと悪化しやすい傾向もあることから、心身に過度なストレスがかかることで脳の機能を変異させるのではと推定されています。
不眠症は現代病なのでしょうか。文明が栄え、産業技術が発展し、ストレスフルな現代社会特有の病気ととらえられがちですが、昔の人は現代人以上に夜間にストレスを感じていました。自然の脅威にさらされ、肉食獣に襲われる危険を感じ、野生動物による農作物の被害を心配し、盗賊の略奪におびえ、およそ現代人より緊張を強いられるストレスを感じていたのです。睡眠で疲れを癒すという考え方が一般的になったのは18世紀の産業革命の後のことです。
厚生労働省の「国民健康・栄養調査」の結果から、20歳以上の19.7%が「ここ1カ月間、睡眠で休養が十分にとれていない」ことが明らかになりました(図1)。2014年に発表された全国の成人2,559名を対象に実施した調査によると、週に3回以上、寝つくのが困難な人は7.2%、夜中に目が覚めてしまう人は15.2%、朝早く目が覚めてしまう人は5.2%であり、いずれかの問題がある人、つまり睡眠がうまくとれない不眠の人は18.8%でした。これは、わが国における以前の調査や他の先進国における調査ともほぼ一致し、成人の約5人に1人が不眠であることが確認されました。こうした調査から、不眠を感じている人は推計で1,500万〜2,000万人いることになります。別の調査では睡眠薬を使用している人が成人の4〜5%と、約400万人にのぼることがわかりました※。こうした不眠の背景には、人口の高齢化、ライフスタイルの多様化、“24時間社会”における生活リズムの乱れ、ストレスなどの原因が考えられています。
睡眠障害(不眠症、むずむず脚(レストレスレッグス)症候群、レム睡眠行動障害)
高齢者は、加齢により生体リズムに障害を来たす。主な原因として、同調因子の変化があげられる。多くの高齢者は社会の第一線からは引退した状態であるため、外出の必要性が減り、光を浴びる機会も少なくなる(光同調因子の減弱)。対人交流も限られるので、日中の活動性が低下することで運動量も減少し、社会同調因子の低下が著しく、メリハリのない1日を過ごすことになる。さらに白内障や網膜・視神経も衰えてくるため、視覚機能が低下することも生体リズム障害の一因になると考えられる。視覚だけでなく、多くの感覚機能が低下していくために、同調因子が入ってきてもうまく受け取れないことも考えられる。
図8は健康な高齢者、不眠の高齢者、光照射を行った後の高齢者のメラトニン血中濃度を比べた図である。不眠で悩む高齢者が一番低いが、光療法を行った後は、健康な高齢者よりも高くなった。また、別のデータで、健康な高齢者と認知症の高齢者のメラトニンの血中濃度を調べた研究結果(Mishima,1999)があり、これによると図8と同様、健康な高齢者はメラトニンのピークが午前0時に来るが、認知症の高齢者ではメラトニンの分泌リズムに振幅の幅があまりなく、どこがピークなのか定かではない。これは、メラトニンの分泌機能の低下というよりも受光量が減少していることがメラトニンの分泌低下の原因となり、高齢者の不眠を引き起こしている可能性を示唆するものである。したがって、高齢者の不眠対策としては、いきなり睡眠薬を投与するのではなく、生活習慣を見直し、光を浴びることから始めるのが望ましいといえる。
気分障害の中でも、季節性感情障害(Seasonal Affective Disorder)は生体リズムの異常に関連した疾患で、欧米ではうつ病患者の10~30パーセントが季節性をもつとの報告がある。日本では53の大学附属病院の精神科外来を受診した患者さんを調査した結果によると、うつ病患者の1~3パーセントが季節性をもち、東北や北海道といった緯度の高い地域に多いことが報告されている。これは、緯度の高い地域では天候が良くない日が続くため、日長時間、日照時間が短くなることが大きな原因と考えられる。白夜が存在する北欧では、この傾向はさらに顕著である。
この疾患は、10月頃より調子が悪くなり、気分の落ち込み、焦燥感、意欲減退、過眠、食欲増進、体重増加、炭水化物や甘いものがほしくなるなどを主訴とし、春先には症状が改善される特徴がある。
1.レム睡眠行動障害(REM sleep behavior disorder) ..
(今回調べた31製品の)メラトニン製品のうち71%の製品が、ラベルに示されている含有量の10%以内の値を満たしていなかった。更に26%の製品には、セロトニンが含有されていた。(メラトニンはセロトニンから体内で作られ、セロトニンを過剰に服用すると健康被害が出る可能性がある。)臨床医師も患者も、睡眠障害に用いるサプリメントに対する品質について、信頼をおけるということが大切なことである。これを達成するためには、製品を製造する会社は、メラトニンサプリメントの製造において、ラベルに示した含有量の正確性だけでなく、セロトニンのような物質が混入しないということもにより製品管理を厳重に行うことが要求される。
【症例3】24歳女性、季節性うつ病、睡眠相後退
秋田県で生まれ育つ。19歳頃より秋になると、特別な誘因もなく気分が滅入るようになった。秋、冬期の気分が滅入る時期には睡眠が長くなる傾向がみられ、朝なかなか覚醒できず、起床も昼近くになることが多く、会社を休むこともあった。何もやる気がせず、出勤してもぼんやりとして仕事をこなす速度が遅くなり、上司に注意されることもあった。23歳のころ、近医を受診し、抗うつ薬を処方されたが、効果はなかった。3月になるとうつ状態は自然に改善し、朝も早く目覚めるようになった。このような冬季の気分の低下と睡眠時間が長くなる傾向は毎年繰り返されるようになった。また、5~8月にはかなり気分が良く、睡眠時間も短い傾向がみられた。
24歳の頃、11月中旬、感情喪失感、焦燥感、離人感、脱力、疲労感、意欲減退などを主訴として、当院外来を受診した。昨年までの症状がさらに重症となり、会社を1週間ほど休んでいる状況であった。過食症状はみられなかった。入床時刻は23時ごろであるが、起床はほとんど正午近くになっていた。初診時でのハミルトンうつ病評価点は18点であった。1週間後より光療法を行ったところ、治療開始後3日目ごろより気分と意欲に明らかな改善がみられた。1週間後には起床時刻は7時となり、出勤も億劫ではなくなり、2週間後のハミルトン評価点は7点にまで低下していた。
このように季節性感情障害に対しても、光療法が有効であるという報告は多い。
⑤ レム睡眠行動障害:レム睡眠中に筋肉の弛緩が不十分で、夢を見ているときに ..
生きていく上で必ず必要な行為の一つが、「睡眠」です。そのため、「もしかして、概日リズム睡眠障害かも」と悩んでいる場合は、なるべく早く医師の診断を受けて、治療法を確認する必要があります。また、毎日決まった時間に就寝と起床すること、朝日を十分に浴びること、夜遅くまでスマホやパソコンを使用するのは控えることなどを、普段の生活のなかで意識していくことも大切です。医師と相談しながら、睡眠のためのよりよい環境を整えることを意識していきましょう。
レム睡眠行動障害の臨床的特徴を性別に着目して検討した結果、男性と比べて女性では、睡眠の質が悪く、抑うつ傾向が強いことが明らかとなった。
なぜそのようなことが起こってしまうのかの原因については、大きく2つに分けて考えられています。レム睡眠行動障害は、原因により、
睡眠中に夢と同じ行動をとってしまう、レム睡眠行動障害でも睡眠障害を満たす場合があります。 ..
認知症に合併している睡眠障害の種類によって、治療法は異なります。概日リズム睡眠障害の睡眠後退型では、メラトニンアゴニストの内服、光療法などが検討されます。一方、レム睡眠行動障害の症状を抑えるには、クロナゼパムが使われます。
また内科的な病気やレム睡眠行動障害などの可能性もあります。これらは眠剤を ..
先述したように、高照度光には、1)朝の光は睡眠・覚醒リズムを前進させる働きがあり、ヒト本来が持っている約25時間の概日リズムを、朝、太陽光を浴びることで24時間にリセットすることができる、2)夕方の光は睡眠・覚醒リズムを後退させる働きがあり、夜間強い照明を浴びて、勉強や仕事をしていると睡眠相後退型の睡眠障害に陥る危険性が高まる、3)昼間に強い光を浴びると、睡眠・覚醒リズムと体温リズムの振幅を大きくし、メリハリのある生活ができるようになる、4)光は季節性感情障害を改善する、という作用があることがわかっている。睡眠障害やうつ病の治療に、他の治療法と高照度光を組み合わせることで、効果が高まることが大いに期待される。
[PDF] [SP12-3] シンポジウム12 レム睡眠行動障害研究の進歩 RBD ..
また、夢のメカニズムについてはわかっていない部分も多いですが、感情を司る大脳もかかわっていると考えられています。レム睡眠行動障害の患者さんはこの大脳にも何らかの変異があると推定されており、激しい感情をともなう夢が増えるのではないかという説があります。
また、夜間のメラトニン最大分泌量が多くのRBD患者では低下しており、診断および治療の選択にも有用であることを明らかにした。
健康な人ではレム睡眠中は体が眠り、だらんとゆるんでいます。脳から運動神経を麻痺させる指令が出され、夢に合わせて動かないシステムになっているのです。ところが、レム睡眠行動障害の患者さんはレム睡眠中も筋肉の緊張がゆるまず、見ている夢に合わせて体がしっかりと動いてしまうのです。
薬物治療としては,クロナゼパムやメラトニンが有効である.クロナゼパムの作用機序は不明であるが,恐怖感や暴
お酒を多く飲む人ほどレム睡眠行動障害が発症しやすくなるという報告もあります。とくに寝酒は睡眠の質を下げ、浅い眠りのレム睡眠を増加させてしまいます。
clonazepamやメラトニンの有効性は高いが大規模試験はな
また、パーキンソン病やレビー小体型認知症などの前段階であることもあるため、疑った場合にはMIBG心筋シンチグラフィー検査を行うこともあります。レム睡眠行動障害では嗅覚障害が認められることが多く、これも診断の参考になります。
老人に多く、夜間睡眠中に異常な行動がみられる状態で、通常は恐ろしい幻視・幻触と興奮・多動を伴います。
レム睡眠行動障害では、レム睡眠中に筋肉の緊張がみられるのが特徴で、それが確認されれば診断が確定します。
[PDF] 健やかな睡眠のための相談指導の手引き [PDFファイル]
パーキンソン病は40~50代以降を中心に発症する原因不明の神経変性の難病で、主にドパミン神経系に変異がおこります。止まっているときに手足が震えたり、立ち止まった後に筋肉が硬直して動けなくなったりという運動障害がおこります。
[PDF] 睡眠障害ガイドライン わが国における睡眠問題の現状
そこで、この記事では子どもの睡眠障害に対する対処法について詳しく解説します。睡眠障害にとっておすすめの食べ物ややってはいけないNG行動についても紹介するため、ぜひご一読ください。
*メラトニンの保険適用は「小児期の神経発達症に伴う入眠困難 ..
この病気の初期症状として、嗅覚の障害、自律神経の障害、気分障害などがみられますが、それと並んでレム睡眠行動障害が注目されてきています。
鳥類・哺乳類では脳の発達に伴い、脳波に明らかな変化がみられ、ノンレム睡眠とレム睡眠に分化し、真睡眠に分類される。 ..
睡眠中に夢と同じ行動をとってしまう、レム睡眠行動障害でも睡眠障害を満たす場合があります。
メラトニン関連の薬を使用することもあります。 当院コラム 食事と ..
先述した時差型の治療としては、高照度光を利用し、概日リズムが到着地の時刻に同調するのを促進させる方法がある。ヨーロッパへの西向き飛行後に速やかに生物時計を到着地時刻に合わせるには、到着地時刻での7時から15時の間(日本時刻の15時から23時)は、できるかぎり太陽光にあたるよう心がけて生物時計を遅らせるようにし、18時(日本時刻の2時)以降は、太陽光を避けることで概日リズムが早まるのを防ぐ。こうして概日リズムを遅らせるようにし、生物時計が持ち越している出発地時刻を速やかに到着地時刻に同調させる。アメリカへの東向き飛行後には、到着地時刻の7時から13時(日本時刻の24時から6時)までは、サングラスなどで太陽光を避け概日リズムが遅れるのを防ぎ、到着地の13時(日本時刻の早朝)以降はできるかぎり太陽光にあたり、概日リズムを早めるようにする。スポーツ選手が最高のコンディションで海外の大会に臨めるよう、スポーツ医学でもこれらのノウハウが取り入れられてきている。
睡眠相後退型の治療法としても、光療法が有効である。
高齢者の睡眠トラブルを解決しよう!快適な睡眠をとるための対処法
子どもが運動不足の場合、睡眠障害の原因となっている可能性もあるため、注意が必要です。定期的な運動は自律神経を整える効果が期待され、睡眠の質を向上させることが知られています。