[PDF] 多発性骨髄腫患者に対する低用量デキサメタゾン併用療法時における


Plerixaforはわが国では2017年2月,自家末梢血幹細胞移植のための造血幹細胞の末梢血中への動員促進の目的で,G-CSF製剤との併用投与が承認されており,多発性骨髄腫患者においても動員が不十分な例には本剤の使用が推奨される(推奨度A,エビデンスレベルIb)。


[PDF] 多発性骨髄腫 (Multiple Myeloma)

多発性骨髄腫の診療指針 第4版 が 9月4日に刊行されました。

以上の結果より、American Society for Blood and Marrow Transplantationによるconsensus guideline and recommendationでは、多発性骨髄腫ではG-CSF 10-16μg/kg/dayによる動員は、前治療1回の症例、melphalan未使用あるいはlenalidomide 4サイクル未満の症例に限定され、上記以外の症例では末梢血CD34陽性細胞のモニタリングとPlerixaforの先制性的使用で多くの症例で幹細胞の採取が成功するとしている6)

[PDF] 医師のための ASH2008 多発性骨髄腫 ハイライト

多発性骨髄腫302例を対象とした第3相試験では、4回以下のアフェレーシスで2 x 106/kg以上のCD34陽性細胞を採取出来た患者の割合はPlerixafor + G-CSF群で95%、placebo + G-CSF群で88%であり、Plerixafor群で有意に高かった(p=0.031)5)。また、2回以下のアフェレーシスで6 x 106/kg以上のCD34陽性細胞を採取出来た患者の割合はPlerixafor + G-CSF群で72%、placebo + G-CSF群で34%であり、Plerixafor群で有意に高かった(p ‹ 0.001)。Plerixafor投与群で高頻度にみられた有害事象は消化器症状(下痢、悪心、嘔吐、腹部膨満感)、疲労感、注射部位の反応であり、本剤投与による死亡例の報告はなかった。

多発性骨髄腫の診療指針,第4版が上梓された.本診療指針の第1版は2004(平成16)年6月に,第2版は2008(平成20)年11月に、第3版は2012(平成24)年9月に刊行され,多くの関係者に評価された.その結果,販売数は2016(平成24)年6月の時点で,第1版7,700部,第2版は6,840部、第3版は8,280部に達した.

療法を受けた患者はさらに少ない。 多発性骨髄腫患者を対象とした TAD 療法(サリドマイド+アドリアマイシン+デキサメタゾン)と HDM

PlerixaforとG-CSFで動員された細胞はG-CSF単独で動員された場合と比較し、増殖周期の細胞、CD34+CD38-の未熟な前駆細胞、T細胞、B細胞、樹状細胞、NK細胞を多く含み、造血幹細胞におけるVLA-4とCXCR4の発現亢進と細胞接着、細胞運動性、細胞周期、抗アポトーシスに関する遺伝子発現の亢進が報告されている2, 3)。これらの特徴はG-CSF単独で動員された幹細胞に比べてPlerixaforで動員された幹細胞は骨髄再生と免疫再構築能が高いことを示唆している。

65 歳未満の初発例を対象としたフランスのランダム化試験では,VAD 療法(VCR, DXR, DEX)による寛解導入後メルファラン(MEL)200 mg/m2 (MEL200)群とMEL 140 mg/m2+全身照射(8 Gy)群に割り付けられている。結果として,完全奏効(CR)割合は両群で有意差はみられなかった(35% vs 29%)がCR+最良部分奏効(VGPR)割合はMEL200 群で良好な結果であった(55% vs 43%,p=0.06)。各群20.5 カ月と20 カ月の観察期間で,45 カ月後の全生存割合(OS)は65.8%と45.5%でMEL200 群が優位に優れていた(p=0.05)。一方,無イベント生存期間(EFS)はそれぞれ20.5 カ月と20 カ月で有意差はみられなかった。好中球減少,血小板減少,入院期間,静脈内抗生剤投与期間はいずれもMEL200 群で短く(p<0.001),血小板および赤血球輸血はいずれもMEL200 群で少なかった(p<0.001)。口内炎(grade 3~4)もMEL200 群で有意に少なかった(30% vs 51%,p<0.001)。以上より,MEL 200 mg/m2 が移植前処置として推奨される。

[PDF] 多発性骨髄腫における薬物療法の進歩とボルテゾミブの役割

第1版では,それまで多くの基準が用いられていた多発性骨髄腫の診断基準として、2003年にInternational Myeloma Working Group(IMWG)が提唱した基準を推奨した。この後、IMWGの診断基準は国際的な標準として広まった。また、わが国の骨髄腫の臨床のエビデンスとして,日本骨髄腫研究会(当時)の関連施設1,380症例の臨床成績を提示し,このデータを含めIMWGにより提案されたアルブミン値とβ2ミクログロブリン値に基づくInternational Staging Systemを紹介した.治療に関しては、治療開始時期を明示し,65歳以下の初期治療では自家骨髄移植を伴う大量化学療法(HDT–ASCT)を第一選択として推奨し,わが国の保険診療で可能な薬剤による骨髄腫の標準的治療のアルゴリズムを提唱し,さらに補助療法の重要性を示した.

Plerixaforは可逆性のCXCR4のアンタゴニストであり、CXCR4とSDF-1の結合を阻害し幹細胞を骨髄から末梢血へ動員する作用をもつ。米国では2008年に非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫における幹細胞動員にG-CSFと併用することが承認されている。


多発性骨髄腫に対するイサツキシマブ,ボルテゾミブ,レナリドミド

Ixazomib + lenalidomide + dexamethasone療法はすべて経口剤からなる利便性の高いレジメンであり,National Comprehensive Cancer Network (NCCN) ガイドライン(2017 version 3)では既治療の多発性骨髄腫に対するサルベージ療法として推奨されており(カテゴリー1),移植適応および移植非適応の未治療多発性骨髄腫に対する初期治療(代替レジメン)としても記載されている7)

ベルケイド® /レブラミド® /デキサメタゾン療法(VRD療法)21日毎

わが国ではixazomibは2017年3月に再発または難治性の多発性骨髄腫を対象にlenalidomideおよびdexamethasoneとの3剤療法として承認を得ており,再発・難治性多発性骨髄腫に対する本レジメンは推奨される(推奨度A,エビデンスレベルIb)。

大量化学療法の投与が可能になった (46)。その後、新規薬剤の一つ、サリドマイドの有効性

自家移植を寛解導入療法後早期に実施すべきか,再発時に実施すべきかを無作為で比較検討した試験がフランスから報告されている。本試験ではOS には差はみられないが,早期に実施することで無イベント生存期間(EFS)(39 カ月 vs 13 カ月)およびTWiSTT(Time without symptoms,treatment,and treatment toxicity:無治療かつ副作用なく無症状の期間)(27.8 カ月 vs22.3 カ月)が延長することが示されている。一方,自家移植と通常量化学療法とのランダム化比較試験であるUS S9321 試験において両群間でOS に差はみられなかったが,これは化学療法群でも再発時に多くが自家移植を受けたことによると考えられ,このことは再発時の移植も有用であることを示している。自家移植と通常量化学療法とのランダム化比較試験のメタアナリシスでも同様のことが指摘されている。しかし,早期に移植を受けない場合は長期間化学療法が継続されることになり,その結果,臓器障害や長期のアルキル化剤曝露による二次性骨髄異形成症候群のリスクを高めることになる。したがって,OS に有意差がなくとも早期に自家移植を実施することが推奨される。近年,ボルテゾミブやレナリドミドなどの新規薬剤を用いた寛解導入により奏効割合の大幅な上昇がみられ,自家移植の実施時期についてはup-front で実施する群と新規薬剤による地固め・維持療法を実施し再発時に自家移植を行う群との新たな第Ⅲ相試験が進行中である。

自家造血幹細胞移植併用大量化学療法 ; ↓ ; 経過観察または臨床試験による地固め・維持療法

若年者症候性骨髄腫患者に対して寛解導入後早期に自家造血幹細胞移植を行うことは再発時に移植を行うよりも勧められるか

日本血液学会 造血器腫瘍診療ガイドライン第3.1版(2024年版)

第2版では,第1版以後の急速な骨髄腫研究の進歩に関する追加記述とともに,治療法について,推奨の程度とエビデンスレベルを明示した.また,当時,欧米では広く使われるようになっていたがわが国では保険診療で初回治療薬としては認められなかった新規薬剤のサリドマイド(THAL),ボルテゾミブ(BOR),レナリドミド(LEN)に関する欧米の成績と投与法を詳述した.さらに,項目の冒頭に要点または推奨を示して内容を分かりやすくし、理解すべき用語は用語解説として明示した.

メタゾン(ILd)療法とレナリドミド+デキサメタゾン療法(Ld)療法の

Ixazomibは経口の新規プロテアソーム阻害剤であり,米国においては2015年に再発または難治性多発性骨髄腫に対する薬剤として承認されている。

表1 多発性骨髄腫のステージ分類

第3版の編集方針は,1)第2版刊行以後さらに目覚ましく発展した骨髄腫診療の進歩を可能な限り網羅すること,2)新たに必須の検査となったfree light chainなどを理解しやすく詳述すること,3)新たにコラム欄を設けminimal residual disease,risk-adapted strategyや2次がんなどの最近のトピックスについて説明すること,4)最新の文献を引用すること,5)できるだけこの診療指針1冊で必要な内容が分かる自己完結を目指すこと、の5点であった。
また、2012年での標準的治療アルゴリズムを提案し、POEMS症候群とALアミロイドーシスについては類縁疾患として分けて詳述した。

「多発性骨髄腫の診療指針,第4版」編集委員会

このように,DARAは3剤療法として再発または難治性多発性骨髄腫に有効性の高い薬剤であり,National Comprehensive Cancer Network (NCCN)ガイドライン(2018 version 3)では既治療例に対するサルベージ療法としてDARA + LEN + DEX療法およびDARA + BOR + DEX療法が推奨されている(カテゴリー1)。わが国ではDARAは2017年11月に再発または難治性多発性骨髄腫を対象にDARA + LEN + DEX療法またはDARA + BOR + DEX療法として承認されており,再発難治例に対するこれらのレジメンは推奨される(推奨度A,エビデンスレベルIb)。なお,CD38は赤血球膜表面にも低発現していることから,DARAの投与を受けた患者では血清中のDARAが輸血検査用の赤血球と結合し,交差適合試験が偽陽性となることがあるため,投与前に輸血検査を実施するなどの対策が必要である4

表2 多発性骨髄腫の治療薬一覧

65 歳未満の若年者骨髄腫を対象とした自家造血幹細胞移植併用大量化学療法(high-dose chemotherapy with autologous hematopoietic stem cell transplantation:HDC/AHSCT)と通常量化学療法との第Ⅲ相比較試験が多数報告されている。その結果,HDC/AHSCT は完全奏効(CR)割合,無イベント生存期間(EFS),全生存期間(OS)のいずれもHDC/AHSCT が優れていた。しかし,その後報告されたUS Intergroup によるS9321 試験やPETHEMA 試験では,HDC/AHSCT と通常量化学療法でOS や無増悪生存期間(PFS)に必ずしも有意差はみられていない。S9321 試験では,化学療法群がIFM90 試験やMRCVII 試験と比較しより強力であるVBMCP 療法(VCR, BCNU, MEL, CPA, PSL)とシクロフォスファミド大量療法で行われ,一方では,移植群における移植前処置(全身照射を含むレジメン)が弱かった可能性が指摘されている。さらに,化学療法群の52%が再発・増悪時に自家移植を受けており,その結果OS で有意差がみられなかった可能性が考えられる。PETHEMA 試験は初期治療に奏効した症例をランダム化しているという点でIFM90,MRC Ⅶ 試験と異なっている

「多発性骨髄腫の診療指針 第5版」編集委員会

編集方針と内容は、1)第3版以降の骨髄腫に関する新たな知見を可能な限り網羅する、2)IMWGの診断基準の改正や新規薬剤導入後の治療法の進歩を詳述する、3)THAL・BOR・LEN以後の新たな新薬を概説する、4)残存病変の評価、マクログロブリネミア、monoclonal gammopathy of renal significance (MGR)を増補する、5)2013年に公表された「日本血液学会造血器腫瘍診療ガイドライン」との相補性と整合性を高めること、の5点である。また、巻末に、我が国の骨髄腫に関する臨床基本データとして、日本骨髄腫学会が2013年に行った2001年―2011年の骨髄腫学会関連施設の2,234例の臨床所見と成績を1990年―2000年までの1,380例のデータと比較し、まとめた。

多発性骨髄腫について

Daratumumab (DARA)は骨髄腫細胞に高発現しているCD38を標的とした新規モノクローナル抗体医薬であり,米国においては2015年に再発または難治性多発性骨髄腫に対する薬剤として承認されている。

※未治療の多発性骨髄腫の治療に使用できる薬

若年者症候性骨髄腫患者に対する自家造血幹細胞移植併用大量メルファラン療法は通常量化学療法と比べて生存期間を延長させるか