メラトニンは、必須アミノ酸であるトリプトファンからセロトニンをへて作られます。
メラトニンの分泌量に関連する遺伝子の変化とADHD症状との関連を検討
本研究は、2つの部分から構成されています。①台湾バイオバンクの遺伝子解析データと世界的な精神疾患の共同研究グループであるPsychiatric Genomics Consortiumの遺伝子解析データを用いて、メラトニン分泌とADHD診断に遺伝的な相関があるかを検討しました。②浜松医科大学で行われている「浜松母と子の出生コホート研究(HBC Study)」に参加するお子さんのうち、遺伝子解析に同意した876名のDNAを解析し、約650万箇所の遺伝子の変化を測定しました。また、このお子さんたちの8~9歳におけるADHD症状の程度を調べました。ついで、①の成果をふまえて、すべてのお子さんのメラトニン分泌に関連する遺伝子の変化の数と効果の大きさを数値化した「ポリジェニックリスクスコア」を計算し、ポリジェニックスコアとADHD症状の関連を検討しました。
サプリメントとして昔から使われてきましたが、とくに発達障害のお子さんの睡眠薬として効果が認められました。ここではメラトニン ..
一方、ロゼレム(一般名ラメルテオン)は、視交叉上核にあるメラトニン受容体MT1、MT2に選択的に作用し、メラトニンと同じような入眠を促す作用をもちます。しかし、ロゼレムのMT1、MT2への作用がメラトニンよりも数倍強いとされるために、催眠作用はメラトニンよりも強いと考えられています。
科学的背景「睡眠覚醒リズムとADHD特性に関連がある可能性」
睡眠覚醒リズムにはメラトニンというホルモンが関与していることが知られていましたが、メラトニンは光を浴びると分泌が抑制されるために、これまでにメラトニンの分泌に関与する遺伝的な要因については明らかになっていませんでした。台湾国立大学の研究者らは、尿中のメラトニン代謝物が比較的安定しており、これをクレアチニン値で補正することで、早朝のメラトニン代謝物を測定することで夜間のメラトニン分泌を高い精度で推測できることを見出し、これを台湾の健常者を対象にして測定し、メラトニンの分泌に影響を与える遺伝子の変化を明らかにしました。本研究ではこの遺伝子解析の結果を利用して、浜松母と子の出生コホート参加者876名を対象にして研究を行いました。
メラトニンが睡眠ホルモンといわれるのは、自然な眠りを促す作用があるから ..
① メラトニンの分泌とADHDの診断には遺伝的な相関が見られる
メラトニン分泌とADHDの診断には遺伝的な相関が見られました。つまり、メラトニン分泌が少なくなる遺伝子の変化と、ADHDの発症リスクを高める遺伝子の変化は共通している部分が多いという結果が得られました。
神経発達症に伴う睡眠障害にはメラトニンが有効とされながら、これまで国内には医薬品として承認されたメラトニン製剤がなく、薬物療法を行う際は、メラトニンのサプリメントを米国などから個人輸入して使うか、成人の入眠障害を適応症とするメラトニン受容体作動薬ラメルテオン(商品名:ロゼレム)を適応外使用で小児に使うケースが多かった。
食品の摂取により血中メラトニン濃度が上昇することが報告されている。食事からのメラトニン ..
一方、個人で輸入することは可能です。Googleサーチで、メラトニンを探せば、多くのサイトが現れます。冒頭の写真も、私が個人としてというサイトから購入したものです。
メラトニンというホルモンについて聞いたことはありますか。メラトニンは様々な作用を持ちますが、「睡眠ホルモン」という別名があり、睡眠と深く関わっているホルモンでもあります。今回は、メラトニンの特徴や作用に加えて、リスクや副作用、日本でメラトニンサプリが発売されない理由についても解説します。睡眠改善に興味がある方も、ぜひ参考にしてください。
成長ホルモンの1つであるメラトニンは、活性酸素から体を守る、老化防止 ..
そこで、発達障害の子どもの睡眠障害の治療薬として、メラトニンを主成分とする「メラトベル」が公的医療保険で認められた。今年6月から医療現場で処方されるようになった。
NAT活性は外界の光の影響も受けます。光が瞳孔を通って網膜にあるメラノプシン発現網膜神経節細胞(intrinsically photosensitive RGC:ipRGC)を刺激すると、そのシグナルが網膜視床下部路を経て視交叉上核に到達して体内時計を活性化し、上述の経路を通じてNAT活性を抑制します。日中は照度が数万〜十数万ルクスもある太陽光のような強い光によってメラトニン分泌量は著しく低下しますが、夜間であっても明るい人工照明が目に入ることによってメラトニン分泌量は低下します。例えば家庭照明の数百〜千ルクス程度の照度の光でもメラトニン分泌が抑制されることがあります(個人差あり)。ipRGCは青色光(ブルーライト)に反応しやすく、白色LEDには青色光成分が多く含まれているため、睡眠や体内時計を乱すのではないかと指摘され、「ブルーライト問題」として有名になりました。このように、メラトニン分泌は体内時計と環境光の両方から調節を受けています。
メラトニン分泌の変化は注意欠如多動症(ADHD)症状と関連する
前述しましたようにメラトニンは、日本では販売されていません。しかし、日本で認可されていない医薬品でも、医師が厚生局を通じて厚生労働省から薬監証明を取得して合法的に輸入し、日本国内で処方薬として治療に使うことが可能は制度があります(文献4)。メラトニンはアメリカではサプリメントとして使われていますが、日本では神経ホルモン剤として医薬品の扱いになります。
認知症予防やエイジング対策に期待?『メラトニン』の分泌を促そう
「レット症候群はDSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル)では神経発達症に分類されていませんが、睡眠障害を伴うケースが多く、夜中に頻繁に覚醒し叫んだりする一方で、昼間は過眠状態にあり、本人はもちろん親のQOLも非常に低い疾患です。当時、海外の文献でメラトニンが有効という論文が出始めていたので、海外から取り寄せて2人のお子さんに使ってみたところ劇的に改善し、メラトニンは効果があるという強い印象を持ちました」
「セロトニン」は、朝日を浴びる、起床時に体をくすぐるなど触れ合ったり体を動かしたりすることで、脳からたくさん分泌されます。 ..
そうした状況の中、日本小児神経学会から早期承認要望が出されていたメラトニン製剤(商品名:メラトベル)が「小児期の神経発達症に伴う入眠困難の改善」を効能・効果として今年3月に承認、6月に発売されたのを機に、小児の睡眠障害の実態と今後の治療について専門医らが解説するメディアセミナー(主催:ノーベルファーマ)が7月30日、オンライン形式で開催された。
通常、小児にはメラトニンとして1日1回1mgを就寝前に経口投与する
一方で、メラトニンには上記の2番めの効果として、体内時計をずらす作用もあります。例えば、夕方4時5時ころに少量(0.5mgから1mg)を服用すると、服用直後に眠気が出るのではなく、通常の眠くなる時間が早くなるという効果を用います。これによって、寝付きの悪い人の寝付きが良くなるということもあります。(寝付きの悪さは、必ずしも睡眠時間帯だけの問題ではありませんので、必ず効果があるわけでもありません。)このような利用法は、体質的には夜型人間だが、早く床に入る習慣がある人などには、より効果が高いと思います。(関連項目: 朝型夜型質問紙とは?)また、この効果をつかって、時差ボケ(ジェットラグ症候群)を軽減させることも行われています。
こどもの睡眠は保護者の生活スタイルに大きく影響されることから、保護者 ..
具体的には。これは普通の人のメラトニンが分泌され始める時間(DLMO)と同じくらいの時間です。タイムリリースという、ゆっくり体の中に放出されるタイプの薬剤だと、より自然な調整ができるかもしれません。メラトニンの飲み始めの数日は、服用後眠気やだるさが出ることがあります。なお、1mgを超えるような多い量を飲むと、眠気が強く出てしまいます(5-10mg以上のメラトニンは多すぎます。眠気が出るだけでなく、朝にまで若干持ち越してしまい、逆にリズム調整には悪影響が生じ場合があります)。眠気が生じるよりもはるかに少ない量でリズムは調整できますので、飲んだ直後に眠気が強くてつらい場合には、量を減らしましょう。
とりわけ就学前1~5歳の年齢のこどもはメラトニンがシャワーのように沢山分泌されます。
体内時計(生体リズム)は、夜になり暗くなると分泌される「メラトニン」というホルモンによってコントロールされています。メラトニンは目から入った光の刺激が脳に届いて分泌されたり止まったりしますが、1歳から3歳くらいの時期にそのルートを開拓しておくことが重要なのです。
メラトニンは朝起きてから 14~16 時間で分泌される(睡眠を誘発するホルモン ..
ラメルテオンは、体内時計を調整するメラトニン受容体(MT2)に対してメラトニンの16.9倍の作用をもたらすほか、ラメルテオンが体内で代謝されて生じるM-IIという物質もメラトニンの2/3程度の作用をもたらします(IC50)。問題は、体内で自然に分泌されるメラトニン自体は血液内に上記のとおり、どれだけ多くても夜間ピークで100pg/mL(0.1ng/mL)という程度でしか存在しないのに対し、ラメルテオンを1錠(8mg)投与すると、M-IIは54ng/mL(54000pg/mL)と、生理的なピーク濃度の少なくとも500倍程度以上の血中濃度を示します。さらにはM-IIは半減期(体から半分抜けていく時間)が2時間程度であるため、仮に就寝前の0時に服用した場合、12時間経過したあとも1/64が体内に残存していることになります(2^6=64)。これは、真昼の12時であってもメラトニンの夜間ピーク濃度の10倍程度以上の血中物質濃度、そして約6倍以上の受容体活性が残存することとなります。受容体活性(IC50)を反映したモデル図を以下に示します。
メラトニン受容体作動性入眠改善剤 メラトベル顆粒小児用0.2%の、Q&A ..
今回の研究の結果からは、夜間のメラトニンの分泌が多いか、少ないかは体質的なものであるが、それがADHDの診断や症状の強さと関連している可能性が高い、と言えます。メラトニンの分泌が少ないことがADHDの原因なのか、ADHDだからメラトニンの分泌が少なくなるのか、といった因果関係までは言及できないものの、メラトニン分泌とADHDには関連があるために、ADHD症状をもつ方、とりわけ確定診断をもつ方では睡眠覚醒リズムの乱れが起きやすいと考えられます。
歳を過ぎたころから基礎代謝が低下し、眠ることにより補うべきエネルギー量も減って、必要な睡眠時間が短くなるから ..
また、メラトニンは1歳から5歳くらいが一生のうちで一番分泌が多い時期です。メラトニンは、体内時計のコントロール、抗酸化作用、性成熟の抑制作用などの様々な重要な作用を持ち、この時期にメラトニンをたくさん分泌させることが、その後の健やかな成長に大きく関わると考えられています。
医療用医薬品 : メラトベル (メラトベル顆粒小児用0.2%)
アメリカのBringham and Women's HospitalのChang先生は、平均年齢24.9歳の健康な12人の成年成人を対象に寝る前に、紙の書籍と電子書籍を読んでもらって、睡眠やリズムについて調査しました。
寝る前に4時間、紙の書籍と電子書籍を連続5日間読んでもらった結果、電子書籍を読んでいた機関では、紙の書籍と比べて、入眠までの時間が長くなり、夜間の眠気が減り、メラトニンの分泌も減り、翌日に起きるまでの時間が長くなり、目覚めの気分の悪化が見られました。
(Proc Natl Acad Sci USA 2015;112:1232-1237)
光を発する電子書籍では、睡眠障害、1日のリズムの乱れを起こす可能性があることが判りました。
睡眠障害によって、子どもの場合は、成長ホルモンが少なくなる可能性がありますし、細胞のリフレッシュもできなくなります。
体内時計を整えて、しっかりと睡眠するためには、まずは、寝る前には、スマートフォンやタブレット等の携帯電子端末の使用を控えましょう。
通常、小児にはメラトニンとして1日1回1mgを就寝前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日1回4mgを超えないこと。 7
睡眠障害を抱える発達障害の6~15歳の子ども99人を対象にしたメラトベルの治験では、服用から約半年間で眠りにつくまでの時間が27・5分~31・5分短くなった。昼間に強い眠気を催したり、頭痛が起きたりするケースがあったが、死亡などの重い副作用は確認されなかった。
お昼寝は何歳まで? 成長に欠かせないお昼寝の役割と適切な昼寝時間
この研究結果は、「ADHDの方では生活習慣の影響だけでなく、元々体質的に睡眠覚醒リズムが乱れやすい」ということが遺伝子解析を用いて確認できたということを示しており、当事者の方や周囲の方は、ADHDの方ではADHDでない方よりも睡眠覚醒リズムが乱れないような工夫(朝に光を浴びる、夜間のスクリーンタイムを減らす、適切にメラトニンを摂取するなど)を行うことが重要であることを示唆しています。今後、この結果が、ほかの年齢層の子どもや成人においても再現されることを期待します。