2型糖尿病を合併するCKD治療に対するケレンディアの意義|座談会


併用は魅力的ではあるものの、今のところ、大規模臨床試験で安全性や有効性を確かめる段階です。


ケレンディア錠20mgとの飲み合わせ情報[併用禁忌(禁止 ..

最大の特徴は「SGLT2阻害薬やMR拮抗薬と併用できること」と「eGFRが10程度でも服用できること」だと思います

調べてみたところ、SGLT2阻害薬とMR拮抗薬の併用でアルブミン尿(尿蛋白)抑制が増強し、尚且つ、MR拮抗薬の副作用である高カリウム血症が減るという研究結果が見つかりました(出典:日本医事新報2022年7月20日付記事より)。

ケレンディア(フィネレノン)の作用機序・特徴【糖尿病合併CKD】

こんにちは。純炭社長の樋口です。

2021年8月に慢性腎臓病治療薬として承認されたフォシーガに引き続き、2022年にはカナグルとケレンディアの2剤が慢性腎臓病治療薬として使えるようになりましたので、最新情報を追記します。


2021年8月に承認されたのはSGLT2阻害薬のなかの「フォシーガ」という薬なのですが、テレビや新聞で「国内初の慢性腎臓病(CKD)治療薬」と報道されているのを知って、純炭社長的には???と思ってしまいました。

というのも慢性腎臓病(CKD)用剤である「クレメジン(球形吸着炭)」が1991年に承認されているからなのです。クレメジンを開発したクレハ(旧呉羽化学工業)さんは悔しい気持ちになっているのでは?

余談ですが、私、就職活動でクレハの医薬品部門を受けて役員面接で見事に落っこちました(笑)でも、クレハを恨んではいませんよ。

おかげで中外製薬の研究所に就職して腎性貧血治療薬の創薬に携われた訳ですし、今でもラップは「クレラップ」を愛用しています(笑)。

【参考】

(7月28日の専門部会議事録は今のところ厚生労働省ホームページにアップされていませんでした)

[PDF] 糖尿病治療薬 効能効果 併用確認シート(添付文書)

作用メカニズムが違う2種類の腎臓病薬が使えるようになったのですから、両方を併用したらもっと効くのでは?と思ってしまいますよね。


このブログを最初に書いた2021年8月5日時点では慢性腎臓病(CKD)治療薬としてのフォシーガは正式承認されていないので、どのような慢性腎臓病(CKD)患者がフォシーガ治療の対象になるのか?は明らかではありませんでした。

しかし、フォシーガの国際的な臨床試験(DAPA-CKD)では糖尿病の有無を問わない4,304例の慢性腎臓病(CKD)患者で臨床試験が行われているので、糖尿病でなくてもフォシーガが使えるようになるのでは?と期待しています。

しかし、DAPA-CKD試験ではeGFRが25以上75未満の慢性腎臓病(CKD)患者であり、尚且つ、ACE阻害薬(またはARB)という血圧を下げる薬を4週間以上服用している患者が臨床試験の対象になっています。

ということは、日本の慢性腎臓病(CKD)治療において、
①eGFRが25よりも下の場合は使えるのか?
②ACE阻害薬やARB以外の血圧の薬(カルシウム拮抗薬など)を飲んでいると使えないのか?
という2点が気になります。正式に承認されたら情報を追記しますね。
【参考】

ケレンディアの投与開始時には併用薬(ACE阻害薬やARB)の確認が必要です ..

そして2022年3月、ついにMR拮抗薬であるケレンディアが「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病」の治療薬として承認されました。

予想通り、糖尿病の有無に関わらず使えるようになったわけですが

・eGFRが25未満でも使えるのか?
・降圧剤(ACE阻害薬やARB)の併用は必須なのか?
・慢性腎臓病特有の副作用はあるのか?

といった点について、改訂された添付文章から抜粋してみます。


中央社会保険医療協議会薬価算定組織 資料令和4年度第1回、第2回

『eGFRが25mL/min/1.73m2未満の患者では、本剤の腎保護作用が十分に得られない可能性があること、本剤投与中にeGFRが低下することがあり、腎機能障害が悪化するおそれがあることから、投与の必要性を慎重に判断すること(添付文章5.7項より抜粋)』と書かれており、腎機能障害の悪化に十分注意すれば、全く使えないわけではなさそうです。

薬物相互作用検索ツール | ゾコーバ | 塩野義製薬 医療関係者向け情報

・投与開始又は再開、増量から4週間後、その後も定期的に血清カリウム値及びeGFRを測定し、表に従って用量を調節すること(→表は添付文書を参照)。

Soticlestat は他の抗てんかん薬で十分な効果が認められない Lennox-Gastaut 症候群(LGS)患

また、添付文章8.2項には『糖尿病の血糖コントロール改善を目的として使用している患者においては、継続的にeGFRが45mL/min/1.73m2未満に低下した場合は投与の中止を検討すること』と書かれていますが、これは「eGFR 45未満ではフォシーガの血糖コントロール効果が得られなくなるので、糖尿病治療薬としては中止を検討すること」という意味合いであり、慢性腎臓病治療薬として中止を求めているわけでは無いようです。

末期腎不全になると人工透析や移植などの治療が必要となりますが、フィネレノン(ケレンディア ..

今回のケレンディアは、非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド(MR)拮抗薬。類薬に、スピロノラクトン、セララ、ミネブロがありますが、これらの適応症は「高血圧症」など。 CKDの適応を持つものは、ケレンディアが初となります。

そういえば私も、SGLT2阻害薬フォシーガRのサンプルを1錠頂いて飲んだ翌日 ..

尚、添付文章17項(臨床成績)では、今回の承認の元になったフォシーガ国際共同プラセボ対象二重盲検比較試験において、『本剤投与中にeGFRが25mL/min/1.73m2未満に低下した場合でも本剤投与を継続可とし、さらに透析が必要となった場合でも本剤投与は継続可とした』と書かれていることから、eGFRが25を切っている場合にフォシーガを使うか否かは、(最終的には)患者と医師の考え次第なのだと思います。

なかには臨床応用に向けて抗がん剤との併用療法を検証している研究結果もある。

SGLT2阻害薬は尿中にブドウ糖を捨てて血糖値を下げてくれる薬として開発され、糖尿病治療に広く使われてきました。

その後、糖尿病だけでなく、慢性心不全や慢性腎臓病にも効果があることがわかり、2021年8月にフォシーガが慢性腎臓病治療薬として使えるようになりました。

2024年4月現在、腎臓病治療薬として処方してもらえるSGLT2阻害薬はフォシーガ、ジャディアンス、カナグルの3剤ですが、このうち糖尿病が無くても使えるのはフォシーガとジャディアンス

カナグルは糖尿病に合併した腎臓病でないと使えません(糖尿病治療薬としては使えますが、腎臓病単独の治療目的には使えません)

【参考】

医薬品ケレンディア錠10mg及び同錠20mgの生物由来製品又は特定生物由

添付文章の4項(効能又は効果)には、『〇慢性腎臓病、ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く』と追加されただけで、ACE阻害薬やARBといった降圧剤の併用には触れられていないので、降圧剤が処方されていなかったり、カルシウム拮抗薬のような他の降圧剤を飲んでいても大丈夫なようです。

「再生医療等製品の併用薬に係る承認事項一部変更承認申請の取扱いについ.

添付文章11項(副作用)には慢性腎臓病に特有の副作用は追記されなかったことから、下記の「フォシーガを服用するときの注意点」に気をつければ大丈夫です。

糖尿病の疾患については別記事で解説していますので、併せてご確認ください♪フォシーガ ..

6月2日に、 2型糖尿病を合併する慢性腎臓病治療薬ケレンディアが発売されました。

併用薬確認不足。,改めて、PPIは他科重複しやすい薬剤であることを認識する ..

フォシーガには5 mg錠と10 mg錠がありますが、慢性腎臓病(CKD)の治療を目的とする場合は10 mg錠を1日1回服用することになります(5 mgでの有効性は確認されていないため)。ところがインスリンを投与していると血糖値が下がりすぎる場合があるのでインスリン量の調整が必要となり、『糖尿病治療に精通した医師と連携して、(中略)5 mg 1日1回で投与開始し、血糖コントロールが安定したら速やかに10 mgに増量してください』と添付文章に明記されています。インスリンを打っている場合は注意してくださいね。

昨年8月にはSGLT2阻害薬という糖尿病の治療薬(商品名フォシーガ ..

<残心>痛快!屁振りへん左衛門
屁振りへん左衛門のお話しは、私の叔母・野見山悠紀子の十八番でした。若いころ甲状腺癌を患い手術をした叔母は独り身で、クチュリエ・ユキという小さなオートクチュールを天神で営んでいました。私は幼い頃、寝る前に叔母のオモシロ話を聞くのが大好きで、屁振りへん左衛門は最高傑作です。毎日オナラばかりしているぐうたら息子のへん左衛門にたまりかねた父親が、ある日へん左衛門のお尻に栓をします。するとある夜、その家に泥棒が入り、誤ってへん左衛門のお尻の栓を踏んで外してしまいます。一気にあふれ出たオナラのあまりの臭さに泥棒は捕まってしまい、へん左衛門の父親が“お前の屁も時には役に立つな~”と言うハッピーエンドです。もちろん完全な叔母の作り話ですが、最近小学生の姪っ子が“”というアニメを見ていて、これぞ屁振りへん左衛門だ!と感動してしまいました。叔母は40年前におしりたんていの構想にたどり着いていたのです。また、このへん左衛門の話、役に立たない人間はいないという、今でいうダイバーシティーを表現していますよね。改めて叔母の凄さに感銘を受けました。
そんな叔母も、私が福岡を去り国際医療福祉大学に赴任した2020年4月に他界しました。野見山家一筋に生きた叔母に、心から感謝しご冥福をお祈りします。

【併用注意】(抜粋→添付文書参照)

2022年6月に承認されたカナグルはフォシーガと同じSGLT2阻害薬ですが、2型糖尿病を合併していることが処方の条件なので、高血圧が原因の腎硬化症や慢性糸球体腎炎の場合には処方してもらえないと思います。また、「eGFRが30mL/min/1.73m2未満の患者では、本剤の腎保護効果が十分に得られない可能性があること、本剤投与中にeGFRが低下することがあり、腎機能障害が悪化するおそれがあることから、新規に投与しないこと。」と明記されており、フォシーガよりも処方されにくい内容となっています。
副作用に関してはフォシーガと同様な内容です。

2型糖尿病合併慢性腎臓病の進行要因とMR拮抗薬ケレンディア

さらに2022年2月に、2型糖尿病を合併するCKD患者を対象に、フィネレノンとSGLT2阻害薬エンパグリフロジンを同時に開始する併用療法について、フィネレノン単剤療法、エンパグリフロジン単剤療法と比較検討する3群比較の第2相臨床試験CONFIDENCEの開始を発表した。同試験の主要目的は、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)の低下に関し、フィネレノンとエンパグリフロジンを同時に開始する併用療法について、エンパグリフロジン単剤療法またはフィネレノン単剤療法に対する優越性を検証すること。

フォシーガに慢性心不全の適応追加!懸念される3つのこと

米国スタンフォード大学のグループはフォシーガの臨床試験から「eGFRが30未満のステージ4慢性腎臓病患者」と「eGFRが30以上あるステージ2や3の患者」の間に腎保護効果の差や副作用の差があるか?をサブ解析しました。