睡眠薬は『作用』から2つに分類、更に『構造』から5つに分かれます。
睡眠時間は十分であるにもかかわらず、ぐっすり眠った感覚がない状態のことです。睡眠時無呼吸症候群などの症状が要因となり、引き起こすケースもあります。この障害がある方は、この障害がある方は、中間型あるいは長時間型の睡眠薬がよく処方されます。
睡眠薬として使用している薬剤はこれらの系統のどれかに属します。
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は依存性が少なく、副作用も比較的少ないため、記憶への影響や翌朝の眠気が少ない点が特徴です。
ラメルテオン(ロゼレム)
内服し続けることで、睡眠リズムのずれを改善する作用がありますので、睡眠リズムが崩れてしまったようなときによく用いられます。作用は強くはありませんし、飲めばすぐにリズムが整う薬ではありませんが、副作用が起こりにくく、安全性の高いお薬です。
ベンゾジアゼピン系ですとふらついて危険、“せん妄”を起こしやすい、という高齢者の方によく処方されます。即効性はないので、ある期間は続けて服むという使い方をするのが、他の睡眠薬と違うポイントです。
メラトニンは、睡眠に対する影響以外にも、多くの機能があります。
今回、東京大学大学院理学系研究科の岡本紘幸大学院生、西澤知宏准教授(研究当時)、濡木理教授らの研究グループは、クライオ電子顕微鏡による単粒子解析法を用いて、リガンドが結合し活性化したメラトニン受容体MT1およびGiタンパク質三量体で構成されるシグナル伝達複合体の立体構造を解明しました(図1)。これにより、メラトニン受容体が活性化するメカニズムを明らかにしました。さらに、東北大学の井上飛鳥准教授の開発したGiタンパク質三量体の活性化検出法を用いたメラトニン受容体の変異体解析により、先行研究では明らかとなっていなかった受容体の活性化に重要なアミノ酸残基を新しく特定することに成功しました(図2)。
上記以外にも適応外のため、詳細は記載しませんが、眠気が出やすい抗うつ薬、抗精神病薬などを睡眠薬の代わりに使用する場合もあります。
※以下では「ロゼレム」として、ラメルテオンの効果や副作用をお伝えしていきます。
朝早く目が覚めてしまい、その後二度寝できない状態のことです。眠りが浅くなりがちな中高年層の方でよく見られる症状です。この障害がある方は、中間型あるいは長時間型の睡眠薬がよく処方されます。
睡眠障害の原因は大きく分けて5つあります。
・環境要因(生活環境の変化等)
・身体的要因(体調不良、体の異変等)
・心理的要因(不安、緊張、イライラ等)
・薬理学的要因(カフェインの過剰摂取等)
・生活習慣的要因(生活リズムの乱れ等)
これらの要因も総合的に考慮して、医師は薬を処方します。例えば、精神的な要因で睡眠障害が起きている場合は、抗不安作用のある睡眠薬を処方します。その他にも、「運転を伴う仕事をしている人にはふらつきの少ない薬を処方する」など、生活スタイルに合わせることもあります。また、「他の常用薬との飲み合わせが問題ない薬を処方する」など、飲み合わせに合わせることも大きな判断材料です。だからこそ、自分で睡眠薬を選ぶということは出来ないと思ってください。もし、今の睡眠薬から別の睡眠薬に変えたい場合は、絶対に医師へ相談しましょう。
睡眠薬は、その作用メカニズムの違いから2つに分けることができます。
入眠のリズムをつかさどっているのはメラトニンという物質です。メラトニン受容体作動薬では、メラトニン受容体を刺激して体内時計を調整し、自然な睡眠をもたらします。
1987年秋田大学医学部医学科卒業。医師、博士(医学)。精神保健指定医、日本精神神経学会専門医・指導医、日本睡眠学会専門医。日本睡眠学会、日本生物学的精神医学会、日本時間生物学会の理事、日本学術会議連携会員などを務める。秋田大学医学部精神科学講座准教授、バージニア大学時間生物学研究センター研究員、スタンフォード大学睡眠研究センター客員准教授、2006年より国立精神・神経医療研究センター睡眠・覚醒障害研究部部長を経て、2018年より現職。これまでに睡眠薬の臨床試験ガイドライン、同適正使用と休薬ガイドライン、睡眠障害の病態研究などに関する厚生労働省研究班の主任研究者も歴任。
メラトニンは睡眠や免疫力の活性化など多くの調節に関係しています。
一方で、ドラッグストアや薬局にも睡眠薬が販売されています。これは、処方薬と何が違うのでしょうか。結論から言うと、成分と効果の持続性が異なります。市販の睡眠薬の主な成分は「ジフェンヒドラミン」というものであり、抗ヒスタミン薬に分類されます。抗ヒスタミン薬は、花粉症などに用いられる「アレルギー症状を抑える薬」です。市販薬は、この抗ヒスタミン薬の副作用によって眠気を促進しており、処方薬とメカニズムが異なるのです。
また特徴として、続けて服用すると7日程度で効きにくくなるという点が挙げられます。そのため、一時的な不眠に対して使用することに限って利用しましょう。「長らく寝つきの悪さに悩んでいる」という方は、医師の判断に基づいた治療をお勧めします。
(*ページの下部に睡眠薬すべての表がありますので、名前だけ記載します)
眠りが浅く、睡眠中に何度も目が覚めてしまう状態のことです。加齢やアルコール摂取によってトイレが近くなる場合などに見られる症状です。この障害がある方は、短時間作用型あるいは中間型作用型の睡眠薬がよく処方されます。
喫煙者を1週間禁煙させてメラトニン25mg服用すると、という報告があります。
メラトニンは、アミノ酸の一種である、トリプトファンからセロトニンに変化し、松果体からメラトニンとして分泌されます。
頭痛に関しては、メラトニン受容体を刺激することで生じる副作用です。
寝床に入ったのに30分〜1時間以上眠れないなど、寝つきが悪い状態のことです。不眠症の中でも最も多いタイプであり、ストレスや不安感、緊張が作用して起こりやすいとも言われています。この障害がある方は、超短時間型あるいは短時間型の睡眠薬がよく処方されます。
そして他の睡眠薬からロゼレムに切り替える場合は、が必要です。
睡眠薬の変更や、服用すべきかの相談は内科や精神科でしましょう。しかしそれでも、
「平日の日中は仕事が忙しくて、病院に行けない…」
「まだ病院に行くほど悩みがあるわけではないし迷うな…」
という悩みを抱えている人もいることでしょう。
そのような場合は、オンライン診療で医師に相談してみるのも一つです。オンライン診療では、事前予約可能で夜も診療可能な病院が多く存在します。です。問診を行ったうえで、症状に合った適切な対策・処方薬をご提案しておりますので、まずは相談だけしたいという方もお気軽にお申し込みください。
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オレキシンは覚醒と睡眠を調節する神経伝達物質のひとつです。オレキシン受容体拮抗薬は、その「オレキシン」の働きを弱めることによって眠りを促す、新しいタイプのお薬です。こちらのお薬も従来の睡眠薬に高頻度で発現していた依存、耐性、反跳性不眠がなく、自然に近い生理的睡眠を誘導するお薬です。オレキシン受容体拮抗薬は、ベルソムラ(一般名:スボレキサント):2014年発売とデエビゴ(一般名:レンボレキサント):2020年発売の2種類が存在します。どちらのお薬も
(*ページの下部に睡眠薬すべての表がありますので、名前だけ記載します)
メラトベルはメラトニンを含む製剤。海外ではメラトニンがサプリメントとして市販されており、日本国内でこのサプリメントを個人輸入するケースが多かった。今回、国内で医薬品として承認され、使用できるようになった。
また、副作用ではありませんが、ベルソムラには以下の薬剤との併用はできません。
覚醒系の神経を抑えることで、寝つきを良くしたり、途中で起きにくくしたりする効果があります。ベンゾジアゼピン系に比べると、ふらつきや依存のリスクが少ないとされており、最近処方されることが増えています。
翌日まで効果が残ることがありますので、注意しましょう。その他の頻度の高い副作用としては“悪夢”があります。
睡眠薬全般の副作用を避けるために、以下のことに注意してください。
メラトニン受容体作動薬の特徴は、従来の睡眠薬とは異なり、視交叉上核以外の脳内作用がありません。よって従来の睡眠薬に発現していた反跳性不眠がありません。
睡眠薬によってよく眠れるようになったという声が多くみられました。
「じゃあ薬の代わりに、お酒でもいいかい?」
→答えは「△」かな。
確かにお酒を飲むと眠れる方はいます。飲酒直後には眠くなりますが、数時間経つと眠りが浅くなり、利尿効果もあるので夜中に目が覚める原因となります。そしてお酒はご存じの通り、量が増えてしまう傾向にあります。恥ずかしながら、これは私も経験ありです。
これは眠気やふらつきなどの副作用が生じる可能性があるためです。
「睡眠薬飲むと呆けるって聞くけど、大丈夫なの?」
これが質問ランキング第1位かもしれません。
→答えは「×」です。
そのようなことは証明されていません。ただし、睡眠薬を服用した後にしばらく起きて活動していると、寝つくまでの行動や会話などを忘れてしまうなどの一過性の「物忘れ:健忘」が生じることがあるので注意が必要です。これは呆けとは異なる現象ですが、勘違いされる理由の一つのようです。服用後は速やかに床につくようにしましょう。
メラトニンは、必須アミノ酸であるトリプトファンからセロトニンをへて作られます。
(今回調べた31製品の)メラトニン製品のうち71%の製品が、ラベルに示されている含有量の10%以内の値を満たしていなかった。更に26%の製品には、セロトニンが含有されていた。(メラトニンはセロトニンから体内で作られ、セロトニンを過剰に服用すると健康被害が出る可能性がある。)臨床医師も患者も、睡眠障害に用いるサプリメントに対する品質について、信頼をおけるということが大切なことである。これを達成するためには、製品を製造する会社は、メラトニンサプリメントの製造において、ラベルに示した含有量の正確性だけでなく、セロトニンのような物質が混入しないということもにより製品管理を厳重に行うことが要求される。
ロゼレムは強引さの少ない睡眠薬ですので、といえるかもしれません。
番外編として、最近の睡眠薬ではないですが、昔から不眠の患者様に使われる漢方としては、酸棗仁湯、加味帰脾湯、抑肝散があります。睡眠薬というよりは、心を落ち着かせ、不安を減らすことで眠りやすい状態にするイメージで、軽めの不眠や、睡眠薬を減らしたいとき、睡眠薬の効果を少し増やしたいときなどに当院では使用しています。
メラトニンはサプリメントとして服用すると、されてしまいます。
ラメルテオンは体内時計のリズムを整えている生理的な物質に働くことで、睡眠を促していくお薬になります。