Background Question 3-1 骨転移診断に単純X線は推奨されるか?


癌によって侵された脊椎の痛み(背部痛や)が生じ、脊髄を圧迫している場合は麻痺が生じます。


Background Question 3-2 骨転移診断にCTは推奨されるか?

元の癌の細胞が脊椎の骨に運ばれて行き、そこで癌細胞が増殖して骨を破壊します。破壊され弱くなった脊椎が負荷を支えられなくなると骨折を生じます。骨折の骨片や膨らんだ腫瘍によって脊髄が圧迫されると麻痺が生じます。

X線(レントゲン)像での骨の破壊(融解・骨折)、MRIでの腫瘍病変で診断がつきます。他の骨に転移があるかどうかを確認するため、骨シンチグラムが有用です。病的骨折のリスクを判断するにはCTを用います。

Background Question 3-3 骨転移診断にMRIは推奨されるか?

癌そのものに対する化学療法・ホルモン療法が治療の基本です。骨転移を骨融解型から骨硬化型へと変化させる薬剤も使用します。局所的には腫瘍の増大で症状が出ている場合には放射線照射が有効な場合があります。骨破壊が進んで脊柱の支持性が失われてきた場合には、放射線照射や化学療法は無効なため、支持性を獲得するような手術(脊椎固定術)が必要となります。

転移性脊椎腫瘍の治療は、全身と局所の治療のバランスをとりながら、癌の種類や病気の進展程度など症例ごとに最適の治療を考えていく必要があります。画一的にどの治療が優れていると一概には言えないので、ケースバイケースで十分な検討を行って治療を行っています。

Background Question 3-4 骨転移診断に骨シンチグラフィーは推奨されるか?

実は放射線治療は緩和ケアとしても優秀な治療の一つです。近年の放射線治療技術の進歩は目覚ましく、痛みや苦痛を感じさせずに完治させる照射法も発達し、転移などで完治が難しくなってしまったがんにも副作用の心配なく疼痛や苦痛などを取り除く効果をもたらしてくれます。

がんになった方は、つねに骨転移に対する不安をお持ちではないでしょうか。
骨転移とは、がん細胞が骨に転移することです。

Background Question 3-5 骨転移診断に18F-FDG-PET/CTは推奨されるか?

がんが痛みを引き起こす場合、骨に転移をしてしまったパターンが多いです。がんが転移をしやすい臓器は血流が集まりやすい肺や肝臓が多いですが、その次に多い転移先が実は骨です。

おおよそ根治しきれなかった癌を持つ人の半数は骨転移を起こすので、もしご自身が介護されている親御さんが、がんを患っていて腕が痛いとか腰が痛いとか急に訴え出したら、それは骨に転移した可能性があります。


Clinical Question 14 骨転移症例における予後予測スコアリングは有用か?

無症候性脳転移に対しては全身治療として薬物療法が治療の中心となるものの,放射線治療も高い局所制御を示すことからその時期を逸さないことは重要である。一方で近年,新規薬物療法の登場によって進行非小細胞肺癌の予後は延長しており,治療方針を決定する際の評価項目として,OS・脳転移制御率だけではなく神経学的予後に対する配慮もより重要となっている。

Clinical Question 17 骨転移の痛みの緩和に外照射は有効か?

以上より,髄膜癌腫症に薬物療法・放射線治療について勧めるだけの根拠が明確ではなく,推奨度決定不能とした。下記に,推奨度決定のために行われた投票結果を記載する。

Future Research Question 21 骨転移の治療にアブレーション治療は有効か?

髄膜癌腫症に対する薬物療法の有効性は,本邦で承認された薬剤・用量に限った場合,いくつかの後方視的研究での報告に限られている。また,髄膜癌腫症に対する放射線治療(全脳照射)の有用性を検討した前向き臨床試験は存在しない。後方視的研究では,髄膜癌腫症での全脳照射の有用性は認められていないが,中には症状緩和が得られる症例が経験されることもある。

Clinical Question 22-1 肺がんの骨転移の治療に骨修飾薬(BMA)は有効か?

以上より,脳転移に対する手術やSRSに全脳照射を追加すると,局所制御には有効であると考えられるが,一方では生存には寄与せず,認知機能低下などの有害事象も懸念されることが複数の臨床試験で示されている。このため手術やSRS後に全脳照射を追加するかしないかは,腫瘍サイズや性状,手術所見などを踏まえて総合的に判断すべきである。エビデンスの強さはA,また総合的評価では行わないよう弱く推奨(2で推奨)できると判断した。下記に,推奨度決定のために行われた投票結果を記載する。

Clinical Question 22-2 乳がんの骨転移の治療に骨修飾薬(BMA)は有効か?

また,手術もしくはSRSを行った患者に対して全脳照射の追加を検討したランダム化比較試験において,全脳照射併用群は健康関連QOLが悪い傾向にあった

Clinical Question 34-2 骨転移の痛みの緩和に鎮痛補助薬は有効か?

4個以下の脳転移に対するSRSと,SRS+全脳照射との併用療法を比較した試験は複数あり,ランダム化比較試験のメタアナリシスで局所制御率については併用群で有意に良好であった(HR 2.61,95%CI:1.68-4.06,P<0.0001)が,OSに有意差を認めなかった(HR 0.98,95%CI:0.71-1.35,P=0.88)。4個以下脳転移に対して,3 cmを超える病変に対して手術が行われ,手術後残存腫瘍に対して全脳照射または再発時SRSを比較したランダム化比較試験が行われた。OSは両群で15.6カ月で,非劣性仮説に対する片側P値=0.0266(HR 1.05,90%CI:0.83-1.33)であり,SRS群の全脳照射群に対する非劣性が証明された。

Background Question 35 骨転移の痛みの緩和にオピオイド鎮痛薬は有効か?

5個以上の脳転移に対するSRSの有効性については,前向き観察研究で5~10個の脳転移と2~4個の脳転移に対する治療成績の比較によって,生存率に差がなかったとする結果が本邦から報告されており,有害事象の出現率にも差を認めなかった(9% vs 9%,P=0.89)。ただし,本研究の適格基準として最大経3 cm未満,最大腫瘍体積10 mL未満,合計体積15 mLなどが挙げられており,この結果を適応できる患者は限られる可能性がある。一方で,全脳照射後の認知機能低下について複数の報告がされていることから,この対象に対して定位照射も治療選択肢として提案できる。エビデンスの強さはC,また総合的評価では行うよう弱く推奨(2で推奨)できると判断した(合意率61%)。また個数にかかわらず定位照射を選択した場合には,しばしば後発転移が生じることから定期的な画像診断を継続することが必要である。

Future Research Question 41 痛みのある骨転移患者にマッサージは有用か?

無症候性脳転移に対して薬物療法・放射線治療のどちらを先行させるかという重要なクリニカルクエスチョンが生じるが,現時点で明確なエビデンスは乏しいことから,脳転移巣のサイズ・個数・部位,医療状況などをもとに放射線腫瘍医と十分検討のうえで判断されるべきである。

骨転移が進行し,激しい痛み,力学的破綻や神経圧迫が高度となれば,整形外科的な手術の検討が必要とな

以上より,多発性脳転移に対する全脳照射,4個以下で腫瘍径3 cm程度までに対するSRSは複数の前向き試験でその有効性が示唆されている。エビデンスの強さはC,ただし総合的評価では行うよう強く推奨(1で推奨)できると判断した。下記に,推奨度決定のために行われた投票結果を記載する。

腫瘍による脊髄圧迫の初発症状は背部痛が多く、進行すると非可逆的な神経麻痺を生じ得る。多発骨転移や骨転移 ..

脳腫瘍に対する放射線照射の有害事象として治療後のQOLの低下が問題となることがある。手術やSRSに全脳照射を追加することで,活動性の低下や認知機能障害が生じることを示す報告がある一方で,評価の方法や時期の違いの影響から差がなかったとする報告もある。一方,全脳照射を省くことで脳内再発によって認知機能の悪化がみられることがある。

以上より,脊椎転移が脊髄圧迫を生じている骨転移に対する外科治療は少数 ..

従来,多発性脳転移に対しては全脳照射が行われてきた。疾患の性質からBSCとの比較試験は存在しないが,2つの前向き試験では放射線治療によって70~90%の患者に症状の寛解が得られたと報告されている。それらの前向き試験ではそのOS中央値は3.5~7.5カ月程度であり,頭蓋内無増悪期間は中央値約6カ月程度と報告されている

機体全体に癌浸潤があり、全体に造骨性変化を認める。 単純レントゲン写真では、圧迫骨折を起こした椎

*定位放射線照射(STI)は,線量分割の違いにより,1回照射の場合を定位手術的照射(SRS),分割照射の場合を定位放射線治療(SRT)と定義されている。ガンマナイフ,サイバーナイフやリニアックによる1回照射はSRSに含まれる。脳幹など重要組織が近接している場合や大きい腫瘍にはSRTで治療を行うことがある。

NCCN のガイドライン(2012)では,神経圧迫,多発骨転移による痛み,炎症,消化 ..

*定位放射線照射(STI)は,線量分割の違いにより,1回照射の場合を定位手術的照射(SRS),分割照射の場合を定位放射線治療(SRT)と定義されている。ガンマナイフ,サイバーナイフやリニアックによる1回照射はSRSに含まれる。脳幹など重要組織が近接している場合や大きい腫瘍にはSRTで治療を行うことがある。