このような現状の中、内部進入することなく屋外から水力換気を実施する


田邉氏:建物内火災は、室内に入って直接放水しないといけないことがほとんど。その際に、建物のドアの開閉などで室内に酸素が送り込まれ「火勢拡大」の危険があります。また、発生した煙などによる視界不良で消防士が「遭難」することも起こります。その他に「建物崩落」の危険、高温環境に入ることの「健康被害」などもあり、これらのリスクは燃えている建物の中に侵入するということで起こるわけですから、cobraを使用することは、リスクの回避につながります。


本田氏:cobraは消火だけではなく、火勢を弱めて人が入れる状態にすることができるということもポイントです。室内の温度を急激に下げる能力がとても高く、500度以上の室内を1分程度で100度以下に下げることが可能です。そしてもう一つ特徴的なのは「少ない水で効果がある」ということです。


ことができる「水力換気ノズル COBRA」(以下「水力換気ノズル」とい

田邉氏:消火活動に使用する、いわゆるウォータージェットですが、cobraはそこに研磨剤を添加。300barの高圧力と研磨剤によって、壁などあらゆる建築用資材を貫通させることができます。建物内に入ることなく、中に向けて微細な水霧を打ち込むことができるので、安全で効率的な消火を可能に。スウェーデンで生まれた商品で、現在スウェーデン海軍や消防をはじめ、世界各国で消火活動に使用されています。


本田氏:建物外部の安全な位置から消火活動ができるということは、消防士の安全のためにも重要なことだと思っています。

長年の造船業で培った技術で、特殊機械や大型機械の設計・製造からメンテナンスまで、トータルで現場を支える、三井造船特機エンジニアリング株式会社。現在ジェムコ日本経営(以下、ジェムコ)がコンサルティングを行い、進行しているのが「新規事業開発コンサルティング」です。「同社シーズを活用できる新規事業テーマを探索し、事業化のための戦略策定を支援しています」と、ジェムコのコンサルタントの森岡琢は言います。その活動が行われている中で新規事業のテーマとして挙がってきているのが「Coldcut™️ cobra(以下、cobra)」を活用した事業。

同社はこれまで付加価値の高い海外製品を多く取り扱い、主に海上自衛隊向けに納入、取付からメンテナンスまで一貫したサービスを展開しています。 スウェーデン製のcobraは、日本における救助・消防市場において画期的な装置となりうる製品であり、同社が培ってきた技術・メンテナンス体制を展開することにより、海上自衛隊や消防署をはじめ多くのフィールドで社会に貢献できるものです。

cobraとはいったいどんな商品なのか、特機事業部長補佐の本田健一氏と、田邉史将氏にお話をお聞きしました。

】水力換気ノズルCOBRA【札幌消防×北海道モリタ×YONE】

本田氏:大量の水を使用し、長時間消火活動をすると水損が大きくなります。マンションでは、下の階に水が漏れることも多々あります。cobraは少量の水を水霧に変え効果的に消火活動するので、水で家や家具などを傷めるリスク、火災現場で発生した物質を含む水を地下水やほかの水系に流出させるリスクが少なくなります。環境への負担を減らすことにもつながるのです。


大量の水が不要ということは、消防車のタンクを小さくすることを可能にします。そうすると小さい車で狭い場所での消火活動もしやすくなる。実際にヨーロッパなどでは、小さい消防車にCobraが搭載され活躍していたりもします。

今回の訓練に使用されたのはスウェーデンにあるコールドカットシステムズ社製の「cobra」と呼ばれる装置で、ウォーターカッター機能とミスト消火機能を併せ持つ。日本においては平成19年に登場したウォーターカッター車に同装置が搭載されており、貫通高圧水霧冷却消火装置とも呼ばれる。同装置を活用した消火戦術(cobra戦術)はヨーロッパの消防士達によって確立され、世界約40ケ国で実践されている。

当社は、札消式水力換気ノズル「COBRA」の開発に貢献したとして、札幌市消防局職員 4 名およ

建物の中に入らない! 消防士の安全を確保して消火を可能に
「cobra」が目指す日本の新たな消火活動とは?

質疑応答の時間には、1つの疑問について学生からの質問が集中した。穿孔を行うその先に人がいないことをどう判断するのか、いると想定した場合はどのように対処するのかという疑問だ。これに対しては現場一巡とその際の熱画像カメラの活用がポイントとなる。経験豊富な指揮者であれば、五感やサーマルスキャン情報から内部の状況を読み取ることが可能で、現実的にその先に生存者がいるかどうかを判別できるという。あわせて、穿孔を行う際に高い位置を狙うことで、床付近に倒れた要救助者は避けることができる。こうした考え方によりヨーロッパでは積極的にcobraの活用が行われており、要救助者を傷つけてしまうといったケースもないとのことだった。

火災現場の熱と煙、水で排出 新装置「コブラ」岩見沢消防署に寄贈

田邉氏:体積に比べて非常に大きな表面積を持つ水霧によるものです。表面積が大きければそれだけ素早く熱を吸収できます。現在消防で使われている通常のノズルから散布される水滴の総表面積は、サッカーゴール1つ分、それに対しcobraから散布される水滴の総表面積はサッカーコート1面分になると言われています。


またcobraの場合、水霧が速い速度であることも冷却能力を高める重要なポイント。さらに、水霧が非常に大きな運動量を持って遠くまで届き、噴射された区画内に乱流を起こします。入り組んだ部分にもしっかりと水霧が到達、部屋全体を短時間で冷却させます。

同戦術ではまず、指揮者が赤外線カメラを活用した360度全周の状況確認(現場一巡)を実施し、サーマルスキャンにより得た情報から戦術の構築と意思決定を行う。cobraの効果が期待できる状況であれば、火災ガスの冷却や火勢の制圧を狙うべく穿孔と放水を実施する。サーマルスキャンにより温度低下が確認された段階でドアを開放し、同時に加圧排煙を実施。これにより火災室に残る火災ガスや燃焼生成物、熱気、そして蒸気を除去する。これらを経て一定の安全が確保されたら内部進入を実施。火点に対する直接放水により鎮圧を図る。外部からの注水に使用するツールにより手順や効果に変化は生じるが、これが壁面貫通消火戦術の基本的なスキームとなる。


22:57 · Go to channel · トランジショナルアタックと水流(水力)換気ノズル

日本においては切断ツールという認識が強いウォーターカッター装置も、壁面貫通消火戦術に活用される装備の一つ。JR西日本福知山線列車事故を教訓に、可燃性ガス等の充満した場所でも使用できる装置として、平成19年に総務省消防庁がウォーターカッター車を整備し、東京消防庁、札幌市消防局、名古屋市消防局、大阪市消防局、福岡市消防局の5本部に配備された。この装置は研磨剤を混入した高圧の水流で火花を出さずに対象物を穿孔・切断でき、水のみを使用すれば少量の水でのミスト消火も期待できる。しかし、導入経緯の通り切断ツールとしての認識が色濃いため、ウォーターカッター装置を用いた壁面貫通消火戦術について、国内で研究や訓練が行われる機会は皆無に等しかった。こうした現状を受け、同戦術について広い知見を持つ意味を込め、静岡県消防学校では平成30年11月16日に専科教育第13期警防科の教育訓練として、cobraを用いた壁面貫通消火戦術の基本と実践を学ぶ授業を実施した。

消火用の放水ノズル「コブラ」 札幌市消防局、民間2社と共同開発

近年では高気密・高断熱の建築物が増加を続け、日本の消防は区画内火災への対応能力を向上させることが急務となっている。こうした中で、物理的に壁等に突き刺して微細な噴霧放水が行える専用ノズルが国内で採用され始めたことを受け、内部進入を図らずして火災室の環境改善や火勢鎮圧を実現するという「壁面貫通消火戦術」に注目が集まっている。

手元のノズルの簡単な操作で各種の設定ができますので緊急性の高い現場においても、この1本が隊員の消火活動をサポートします

田邉氏:そうではありません。今までやっていた消火活動の中にcobraをプラスすることで「cobraメソッド」が可能になります。「安全で効率的な消火活動」を目指し、安全性を向上させてリスクを極限まで低下させる、様々な戦術ができるようになっています。


海外では、10年程度使用されているので、その間に培われた様々なメソッドが蓄積されています。日本と海外での火災は、住宅事情など違う部分もありますが、共通点も多い。それを有効活用できるのはメリットだと思います。今後は、さらにこれを発展させ「日本版cobraメソッド」を作成していく予定です。

こうした中で、物理的に壁等に突き刺して微細な噴霧放水が行える専用ノズル ..

ヘッド底面で適度に水を捉えることで浮き上がり性能を向上させたコブラヘッド。その登場によって、よりスローなリトリーブが可能となり、ライトゲームにおける戦略の幅が広がりました。浮き上がりの良さを活かすことで、軽いウエイトは表層やシャローエリアにおいて“デッドスロー”状態をより効果的に演出しやすく、魚にじっくりとアピールすることができます。重いウエイトはディープにおけるブレイク攻略の際にもスローに攻めつつ、ボトムコンタクトからのリフトがしやすい特徴があり、釣りのリズムを乱す根掛かりも最小限に抑えます。カーブフォールの際は、ヘッド形状と水平バランス設計の組み合わせにより、僅かにゆらめくナチュラルフォールアクションを発生させます。フックはライトロッド・ライトラインでもしっかり刺さり込み、夜間でもラインを通しやすいラージアイの「ジグ31」を採用しました。

・令和2年度札幌市消防職員提案の実施状況について

そこへ吸気口から排気口へ水霧放水しながら進入する隊員の方への安全性を考慮し、屋外から建屋内の熱・煙を排出する水力換気ノズル『COBRA』を展示致します。

・令和3年度札幌市消防職員提案の実施状況について

消防データを分析・見える化し、消防力向上を支援することで期待できる市民サービスの向上

・令和4年度札幌市消防職員提案の実施状況について

本田氏:消火活動を行う、様々な場所で効果を発揮できると思います。消防署はもちろんですが、例えば自衛隊、自前の消防組織を持っている工場・コンビナート、発電所などの施設などでも活躍の場があると考えています。密閉した空間や、重要な情報があるところで火を食い止めたいとき、cobraメソッドを使えば様々な方法で対応が可能です。


その優位性は、実際に使用したり、見ていただくことでよりご理解いただけると思っているので、そのためにも各所でデモなどを行っていく予定です。消防士さんの安全確保のためにも消防署に1台ずつcobraがある、ということになれば、日本の消火活動も大きく変わるのではないかと思っています。

・令和元年度札幌市消防職員提案の実施状況について

6月15日(木)から4日間に渡って東京ビッグサイトにて開催される5年に1度の消防防災に関する国内最大級の展示会「東京国際消防防災展2023」。本展は過去に発生した災害を教訓とした災害対策及び多様化する災害リスクを周知し、都民等の防火防災意識及び行動力を向上させるとともに、セーフシティの実現に向け、住民・企業・行政による3者相互の連携強化並びに関連技術・産業の振興を促進することを目的としており、国内外の消防・防災に関する最先端のサービスや製品が一堂に集結します。

・水力換気ノズル(COBRA)に関する検証(その7)

・圧縮空気発泡装置(CAFS)に関する基礎実験
・小屋裏への延焼防止効果に関する実験
・PPVに関する基礎実験
・壁体内部の延焼に関する実験
・静脈路確保用上肢固定器具の開発
・防火手袋の熱伝導性等に関する検証
・検証現場における灯油成分等の効果的な検出方法について(その2)
【情報提供】
・平成27年度における札幌市消防職員提案審査会の実施状況

・水力換気ノズル(COBRA)に関する検証(その6)

造船業からスタートした同社は、近年5社が合併。造船以外の分野にもフィールドを展開しています。そのような中で、なぜジェムコに「新規事業開発コンサルティング」を依頼することになったのでしょうか? 今回のプロジェクトの担当である総務部次長の黒木聡氏に聞きました。


「次の中期経営計画を見据え、『さらなる進化のために、各企業で展開していた事業をもとに、シナジーを起こし、付加価値が生み出せるような新商品開発はできないだろうか』という意見が出てきました。実際に進めるにあたっては、合併直後ということもあり、客観的な立場でアドバイスをいただく方に入っていただいたほうがいいのではないかと考えていました。私たちだけだと、造船関係の知見が中心になってしまうことを懸念していたからです。私たちにはこれまで培ってきたたくさんの技術がある。それらを、業種・業界を超えて転用することはできないだろうか。自分たちでは新しいと思っていることも、実はもうすでにあるものではないだろうか…。そういうところも踏まえて、様々な知見を持ったコンサルタントの方に、自分たちだけでは気づかないようなところをアドバイスいただければと思い、ジェムコさんにコンサルティングをお願いすることになりました」


コンサルティングは、下記のような流れで行われています。

STEP1:シーズ分析編
□保有技術・資産・能力の棚卸や評価
STEP2:シーズ分析編
□新規事業検討領域の市場・製品・技術ニーズ検索
□新規事業テーマの構想
STEP3:事業化戦略策定編
□新規事業領域の市場構造分析
□受容性調査
□参入障壁分析
□新規事業のKSF特定と獲得方法の検討
□事業化戦略・事業計画書の策定

コンサルティングは2019年4月にスタートし、現在順調にステップを進めています。「その中で、新規事業のテーマとして出ているのが、今回ご紹介しているcobraになります。ここまでの取り組みでも、すでにコンサルティングの効果を感じています。引き続き、ジェムコさんにはご指導をいただきたいと思っています」(黒木氏)。

消防データを分析・見える化し、消防力向上を支援!

・ダクト火災における圧縮空気泡消火装置泡(CAFS泡)及びウォーターカッターミストの消火効果の検証について

・水力換気ノズル(COBRA)に関する検証(その5)

火災時の室内は煙や熱により、消防隊員の進入が困難となる。このため、コブラ(長さ約180センチ)は、ノズルの先端をくの字にして室内から室外に放水し、その水流によって室内の煙や熱を排出できるようにした。実際の火災現場で使用した隊員は「中の煙はほとんど排出され、火元をくっきり目視できるようになっていたので、最小限の水量で火元を消すことができた」などと効果を上げたという。