要旨:目的:クラリスロマイシンを含む化学療法が行われた肺 Mycobacterium avium complex(MAC)感
RFPは副作用が多い:肝障害、胃腸障害、皮疹、発熱、血小板減少など
薬物相互作用が非常に多い:併用薬の確認が必須
RFPを併用するとCAMの血中濃度が低下する:RFP併用時はCAMは800mg/日使った方がよい
RFPの有効性はそれほど高くない:マクロライド+EBの2剤併用療法は3剤併用療法と比較して培養陰性化率は劣っていないとの報告あり
2020国際ガイドラインはマクロライド耐性増加の懸念から3剤治療を推奨している。
実際2剤治療でマクロライド耐性は増えなかったと、日本から報告あり。
日本の2023改訂見解では、基本的に3剤併用を推奨するが、高齢者など副作用や薬物相互作用がおこりやすい場合の選択肢として2剤治療をあげている。
肺MAC症に究極の治療法が誕生 | Medical Tribune
内服薬(一般名:商品名®)
☑ クラリスロマイシン:クラリスロマイシン®
☑ アジスロマイシン:アジスロマイシン®
ともに肺非結核性性抗酸菌症の治療において非常に重要なマクロライド系の抗菌薬です。
吐き気、軟便、腹部膨満感、味覚異常(苦味、金属の味がするなど)、発疹、肝機能障害、腎機能障害などの副作用があります。
稀に不整脈、耳がきこえにくくなるなどの症状が出ることがあります。
●特に心臓の病気があるかたは定期的な心電図などの検査が必要です。
☑ エタンブトール:エサンブトール®
発熱、発疹、肝機能障害、視力障害(視力低下、視野異常など)や手足のしびれなどの副作用が出ることがあります。
●視力障害は早期に発見すれば回復しやすい症状です。かかりつけの眼科で定期的な検査を受けることをおすすめします。視力障害やしびれなどの症状を自覚された場合はすぐに主治医(眼科医)に相談してください。
マクロライド(CAMあるいはAZM)は肺MAC症治療のキードラッグであり、耐性化すると治療がきわめて困難となる。
耐性化させないことが重要で、EBを含むレジメンで治療するとマクロライド耐性出現が減少すると報告されている。
マクロライド耐性化抑制の機序やそのために必要な投与量は不明だが、EBを継続することが重要。
EBによる視神経障害は投与間隔、投与量と関連する。間欠的治療では視神経障害がおこりにくい。
連日治療の場合、12.5mg/kg/day以下の低用量EBは12.5mg/kg/dayをこえる群と比べて視力障害が少ないが、治療成功率、画像改善率、マクロ ライド耐性化に差が無かった。
実臨床では高齢者や合併症を有する症例でEBが含まれない処方が多い報告あり、間欠的治療や投与量の減量などで視神経障害を減らせる可能性がある。
MAC)症成人被験者にクラリスロマイシン(CAM)及びエタンブトール(EB)を用いた治療 ..
非結核性抗酸菌症の画像検査、喀痰や抗体検査による診断、内服治療が可能です。
診断のために気管支鏡検査を必要とされる方には、呼吸器専門医が在籍する専門医療機関をご紹介させていただきます。
治療期間が1年以上必要なことが多いですが、薬に対する副作用や効き目が患者さんによって違うので、治療期間も異なります。当院には日本結核・非結核性抗酸菌症学会の結核・抗酸菌症指導医が在籍しており、クロファジミン(内服薬)を含めた先進的な治療を提供しています。
肺マック症・肺非結核性抗酸菌症 | 甲南山手おしたにクリニック
非結核性抗酸菌症の進行には、患者さまの免疫力と菌の毒性との力関係が大きく影響すると考えられます。
糖尿病や慢性腎臓病などの、免疫力の低下につながる基礎疾患をおもちの方では、十分な治療によって基礎疾患を良好にコントロールすることが大切です。
リウマチ関連疾患や悪性腫瘍などの基礎疾患をお持ちで、免疫力の低下を来すような投薬を受けておられる方では、非結核性抗酸菌症の進行が起こりやすい傾向にあります。
基礎疾患の治療の優先度や、お薬を減量できる余地があるかなどについて、医師同士で連絡を取りながら調整を行うこともあります。
<治療薬の副作用・注意点>
非結核性抗酸菌症や気管支拡張症の治療で使用されることの多い内服薬・点滴薬
肺MAC(マック)症は呼吸器感染症の一種で、近年増加傾向に ..
病気は一般的には早期診断と早期治療が基本になりますが、肺症は診断がついたとしても必ずしもすぐに治療を必要としないことがあり、患者さんひとりひとりの症状や検査所見、病状の程度や進行のスピードを見ながら治療の必要性を判断しています。
<基本の治療法>
・肺マック症
クラリスロマイシンまたはアジスロマイシン、リファンピシン、エタンブトールの3剤の内服薬に加えて、病状の程度や症状の強い方にはアミカシン(アミノグリコシド)の点滴を行っています。
・肺アブセッサス症
有効な内服薬が少ないため、数種類の内服薬に加えて、アミカシン、イミペネム/シラスタチンなどの点滴治療を行います。
最近、遺伝子解析などにより、より細かくⅰ)アブセッサス・マシリエンゼ、ⅱ)アブセッサス・アブセッサス、ⅲ)アブセッサス・ボレッティの3種類に分類できるようになってきています。ⅰ)アブセッサス・マシリエンゼでは通常クラリスロマイシンが有効であるのに対して、ⅱ)アブセッサス・アブセッサス、ⅲ)アブセッサス・ボレッティではクラリスロマイシンが効きにくいことが多いため、退院後も点滴抗菌薬を継続することがあります。
世界各地で地域差はありますが、日本では肺非結核性抗酸菌症の90%がMAC(マック)菌による肺MAC症で、肺 ..
アリケイス®は、通常点滴で使用するアミカシンをリポソームと呼ばれる油性の小さな粒子の中に入れたお薬です。2021年に発売された新薬で他の治療を半年以上行っても痰から菌が検出される場合に、従来の治療に加えて使用するものです。臨床試験では、ガイドラインに基づく多剤併用療法に加えてアリケイス®を毎日追加した場合、アリケイス®を使用しない場合に比べて、投与6か月目までに約30%の方で喀痰の抗酸菌培養検査で菌が陰性になりました。専用の吸入器を用いて吸入することにより、肺の末梢にある肺胞まで効率的に薬剤が分布するため薬の全身への影響が少なくなり、副作用を軽減しながら治療の効果を期待できます。吸入治療ならではの副作用として発声障害が比較的多く報告されていますが、声帯の一時的な炎症によるもので基本的には心配ありません。吸入手技やメンテナンス方法の習得が必要になるため、慶應義塾大学病院では新規導入の際に2泊3日程度の入院をしていただいています。入院前の準備から退院後のフォローに至るまで、関係する医師(呼吸器内科、感染症科、耳鼻咽喉科)・看護師・薬剤師がチームとなって連携をとり、遠方に在住の方でもスムーズに治療を継続できるような取り組みを行っています。
肺MAC症に対する治療は、CAM(クラリスロマイシン),EB(エサンブトール),RFP(リファンピシン)または RBT(リファブチ
2023改訂見解では、国際的な現況を考慮して、空洞のないNB型肺MAC症 (重症は除く)に対しては間欠的治療と連日治療の両者を推奨する。
間欠的治療のメリット:副作用による治療中止・変更が少ない、とくにEB の中止率が少ない。
軽症例では有効性もそれほど連日治療と変わらない。
投与量がA法:連日とB法:間欠法(週3日投与)で違うことに注意が必要である。
A法(連日):CAM800mg or AZM 250mg、EB750mgまで(10-15mg/kg)、RFP600mgまで(10mg/kg)
B法(週3):CAM1000mg or AZM500mg、EB1000mgまで(20-25mg/kg)、RFP600mg
処方箋記載は最大量で以下の通り(体重40kg以上の患者は最大量である)
A法:アジスロマイシン(250)1錠 分1、エサンブトール(250)3錠 分1、リファンピシン(150)4C 分1
B法:アジスロマイシン(250)2錠 分1、エサンブトール(250)4錠 分1、リファンピシン(150)4C 分1
・CAMレジメンかAZMレジメン(2023年改訂見解)か、どちらを使うか
2020年国際ガイドラインではマクロライド感受性肺MAC症にはCAMよりもAZMを含むレジメンが推奨されている。
その理由として、両者の排菌陰性化率に基づく有効性は同等だが、AZMの方が
①忍容性が高い、②薬物相互作用が少ない、③内服錠剤が少なく服用の負担が少ない、④1日1回投与である、⑤コストが低い、などがあげられている。
審査事例の留意事項には、AZM単剤で治療しない、第一選択薬とする場合には原則としてCAMを検討した後に投与する、とされている。
これらの諸点を考慮し、利点が大きい場合にAZM使用を検討する。
日本ではAZMの長期使用に関する報告は限られている。
[DOC] 抗酸菌症(結核および非結核性抗酸菌症)の治療薬と副作用
肺アブセッサス症は、肺MAC症と比較して治療が効きにくいといわれています。このため、初めに点滴のお薬を含む複数の薬で治療を行います。まずは入院して点滴の薬を2種類(アミカシン、イミぺネム/シラスタチン)、内服薬を2種類(アジスロマイシン、クラリスロマイシン、クロファジミン、シタフロキサシン、リネゾリドの中から患者さんに合わせて選択します)を使った治療を1か月程度行います。退院後も外来で週3回の点滴と内服薬2~3種類を続けます。
難治性肺 Mycobacterium avium complex 症における ALIS 治療
病変が肺の狭い範囲に限局していて、その部分だけ切り取ってしまえば完治が期待できるような状態の場合には、手術療法が選択される事もあります。
手術の対象となるかについては、呼吸器内科、呼吸器外科、放射線科など複数科の医師が会議を行って決定するのが好ましいと思われます。
MAC 症の標準治療はリファンピシン(RFP)+エタンブトール(EB)+クラリスロマイシン.
肺非結核性抗酸菌症の治療は菌の種類に応じて複数の薬を内服し、病状によっては点滴を併用する必要があります。主治医から説明のあった薬を必要な期間継続して服用しましょう。
自己判断で薬を止めたり、不規則に飲んでいると耐性化といって
薬が効かなくなることがあるため注意が必要です。
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非結核性抗酸菌症の薬物治療では、抗結核薬を含む複数の薬剤を、少なくとも1年間以上服用していただく事になります。
これは、非結核性抗酸菌症がもともと薬が効きづらい菌である上に、治療によってさらに薬が効きづらい性質に変化する(耐性化する)現象が起きやすいためです。
代表的な非結核性抗酸菌症である肺MAC症の場合、以下の3薬剤による治療が行われます
非結核性抗酸菌症 | 複十字病院 公式サイト(東京都 清瀬市)
難治性肺MAC症にガイドライン標準治療のみとALISを併用した群では、6ヶ月後の培養陰性化率は8.9% VS 29%と有意にALIS併用群が高かった。
使用にあたっての留意点
・ALISを単剤で使用しないこと
・2018年のCLSI M24 3rd ed/M62に準拠した感受性試験でAMKのMICを評価する。
AMKのMICが 128μg/mL以上であれば原則ALISを使用できない。
・ALIS開始後は可能な限り定期的な喀痰抗酸菌培養検査をおこなうこと
・本剤の効果は投与6ヶ月後を目安に臨床症状、画像所見、細菌学的検査結果などを併せて総合的に判断する。
菌陰性化達成されなくても臨床経過やMICを参考に継続の要否を検討する。
副作用と対策
重大な副作用(結核2022;97:29. 学会合同で指針を出している)
過敏性肺臓炎(SpO2やKL-6を測定する)、気管支痙攣(休薬、β2刺激薬の前投与)、
第8脳神経障害(家族性難聴の問診、聴力モニタリング)
急性腎障害、ショック・アナフィラキシー
主な副作用一耳鳴、疲労、発声障害、咳嗽、呼吸困難、喀血、口腔咽頭痛など。
発声障害には、休薬、隔日投与、夜に吸入、吸入前に水をのむ、吸入後温湯うがいを徹底、トローチなど の対策を講じる。
咳嗽、呼吸困難休薬には、隔日投与、β2刺激薬の前投与など
MAC( マイコバクテリウム アビウム コンプレックス)という菌は、非結核性抗酸 ..
非結核性抗酸菌はヒトからヒトへの感染はないので、家族への伝染の心配はなく、家族や周囲のヒトへの特別な配慮は必要ありませんが、自宅内で菌のすみつきやすい場所(風呂場、シャワーヘッドなど)を定期的に掃除し、清潔に保つように心がけてください。
自覚症状がなくても定期的な通院が必要です。経過観察中でも3ヶ月から半年に一度は受診するようにしましょう。治療が開始されたら、治療を成功させるために、薬を指示通りに確実に内服することが重要です。
[PDF] マクロライド系抗生物質製剤 日本薬局方 クラリスロマイシン錠
体調が気になり病院に行った所、「非結核性抗酸菌症(肺MAC症)」・「気管支拡張症」と診断。
1年間病院で治療をしたが改善が見られないので、こちらにご相談に来られました。
症状としてはと。
咳に関してはとの事でした。
漢方の種類としては、
①菌を除去する粉薬
②免疫を上げる粉薬
の2種類の漢方薬を出させて頂きました。
、少し良いかなという感じはあるけどまだ咳が気になるとの事。
仕事場での咳がきついとの事でを追加させて頂きました。
定期検査のレントゲンを撮りに行った所との事。
症状的にも咳・痰共に改善してきました。
、咳も朝方少し出るか出ないかくらいまで減少。仕事中は出る事なく快適に過ごしているとおっしゃっていました。
肺を潤す作用のある煎じ薬も最初の頃の半分まで減らす事が出来ました。
、病院にレントゲンを撮りに行った所、ほとんどの影が消えていると言われたそうです。
、冬にさしかかると調子が悪いことが多いとおっしゃっていましたが、今年はそれがないとの事。
調子も良い状態が続いているとの事では今回のお薬で治療終了となりました。
、咳や痰もほとんど出ていないとの事。
調子良く過ごしている為、今回の漢方薬でとなりました。
最初にお越し頂いた時にはお話しの途中にも咳をされていましたが、治療終了時には咳をする所も全く見なくなりました。
気管支拡張症に関しては、一旦止めてみて様子を見ようという事にな経過観察中になります。
て行ってはならない. 本邦では,病型等に関係なく,一律の化学療
もう1つ、非常に重要なのは体重を落とさないよう心がけることです。やせ方が激しい人ほど進行が速く、重症化しやすいことがわかっています。可能な範囲でしっかりと食べ、体型を維持します。食事制限は特にありません(ほかの病気は除く)。
また、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンも、接種しておいたほうが望ましいでしょう。
前述のように肺MAC症患者の性別や体型などに偏りがあることから、「なりやすい体質」について遺伝子レベルでの解明を目指す国際的な共同研究が始まっています。慶應大学を中心とした研究グループは肺MAC症患者と健常者のゲノム(遺伝情報)を解析・比較して、ある遺伝子の変異が発症リスクの高さと関連していることを明らかにしました。さらに研究が進めば、発症しやすい人や重症化しやすい人に狙いを絞った、よりきめ細かい治療や予防の方策が見つかることが期待されます。
治療の進歩に注目しつつ、「一病息災」のつもりで心にゆとりを持って人生を楽しみましょう。
ライター 平野 幸治