アモキシシリンで治療がうまくいかない場合は、アモキシシリン ..
降圧剤についての質問も度々きますので、少し書きたいと思います。
降圧剤というものは、主に血圧を下げる目的で使われますが、中には心臓や腎臓を保護する目的で使われる場合もあります。そのため、時々、他院から薬をもらっている患者さんが、風邪などで受診された際に、「血圧は高くないのに、降圧剤が処方されているんだけど・・・」と質問されるケースがあります。
降圧剤にも数種類あり、それぞれ降圧させる方法が違います。そのため、使い分けをしています。1)Ca拮抗薬(ノルバスク/アムロジピン、ニフェジピン等)、2)ACE阻害薬(レニベース/エナラプリル等)、3)ARB(ブロプレス、ミカルディス、ディオバン等)、4)利尿剤(ラシックス、アルダクトン等)、5)αブロッカー(カルデナリン等)、6)βブロッカー(メインテート、アーチスト等)が挙げられます。
1) Ca拮抗薬は血管の拡張により血圧を下げる作用があります。しかし、血管を広げることから、顔の火照り、むくみ、頭痛、便秘などの副作用が起こる場合があります。
2)ACE阻害薬はアンギオテンシンIIという物質が作られるのを防ぎます。アンギオテンシンIIは血管を収縮させたり血液量を増やしたりするため、血圧が上がるため、それらを防ぎます。ただし、空咳や喉の違和感を訴える副作用を有します。
3)ARBは「アンギオテンシンIIが受容体へくっついて血圧が上がり、血液量を増やす」という作用を阻害し、アンギオテンシンIIが受容体へくっつくのを防ぎます。軽い動悸、めまいなどを訴える方もいますが、ほとんど自覚症状として副作用を訴えるケースは稀です。
4)利尿剤は腎臓からNaと水分を排出する作用を持ちます。そのため、尿量が増えたり、高齢者などでは脱水、低Na血症、痛風などを起こす場合もあります。
5)αブロッカーは、血圧を上げ神経の働きを抑えて、血管を広げて血圧を下げます。副作用としては、立ちくらみ、めまいなどの症状が出るケースもありますが、あまり多くはありません。
6)βブロッカーはαブロッカーと同じ、血圧を上げる神経の働きを抑え、また、心臓の収縮力を落としたり、血管の収縮を抑え、血圧を下げます。副作用としては、心不全患者では量が多いと心不全の悪化をきたす可能性があること、また、かなりの確率で心拍数が減少します。
以上のように、様々な降圧剤があり、それぞれに副作用が認められ、また、それぞれに得意とする降圧方法があります。そのため、人により、降圧剤の使い方は違います。当院では、生活習慣や血圧が上がる時間帯、また、塩分摂取量等、様々な情報を聞いて、患者さん一人一人にもっとも適切であろう薬を選択しています。そのため、同じ高血圧でも患者さんによっては全然違う種類の降圧剤が処方されます。また、当院は循環器内科(心臓が専門)のため、心臓に合併症を持つ患者さんも多く、2-3種類もしくはそれ以上の薬を組み合わせて使っているケースも多々あります。
また、副作用が出てしまい使えないと言って他院かかりつけの患者さんが来院されるケースもありますが、その際も、よく相談をして、薬を種類を変えたり、量を変えたりしながら、経過を見るケースがあります。多くのケースでは、変更により飲み続けられることが多くなります。
また、降圧剤の飲み始めに副作用を感じやすいこともあります。例えば、Ca拮抗薬では、頭痛や頭が重たいということを訴えられるケースがあります。
血管拡張に伴う症状であろうと考えられ、拍動性の頭痛がある場合は、ほぼ使うことは不可能であり、中止し他の薬に変更をしたりします。頭が少し重たいくらいの場合は数日使ってもらうと症状が消失するケースが多いため、継続してもらうことが多くなります。
また、便秘が強い場合などは、Ca拮抗薬を使うと、さらに悪化するケースがあるため、注意を要します。
このように、持病と副作用、それと薬によってもたらされるメリット全てを勘案した上で、治療を行います。
降圧剤について不安や困ったことなどがあれば、薬手帳を持って受診していただければ、対応できると思います。
アモキシシリンならびにアモキシシリン/クラブラン酸がよく 用い ..
夏場、心不全で来られる患者さんがいます。心不全は冬になりやすいのですが(冬の方が血圧が上がることが多いことなどが原因です)、かといって夏場でも心不全がいないわけではありません。
ただ夏の心不全では大きく分けて二つのタイプがいます。
一つは塩分と水分を取りすぎるタイプです。マスコミでも盛んに「塩分も摂取しないと脱水は改善しない!」といっていますが、普通、家の中にいる高齢者が夏だからといって塩分を多く取る必要はほぼないと言っていいのですが、それでもマスコミの言葉を信じて塩分を多く取り、水分も多くとった結果、心不全をきたすケースです。
もう一つは、高齢者になると喉の渇きを自覚しにくくなり、結果、脱水になって心不全になるケースです。脱水なのに心不全というのはちょっと納得いかないかもしれませんが、脱水になると当然心拍数は上がります。特に心房細動などの不整脈を持っている患者さんではより頻脈の傾向が見られます。そして、脱水が続いているのに水分をあまりとらない状態になると心拍数が100を超え、それが1日〜数日続くと、元々の心臓の機能によっては心不全を引き起こします。これは心臓は筋肉でできていますが、通常の倍近い速さで心臓が拍動をし続けると筋肉が疲労し、動けなくなり、心臓の機能が低下し、頻脈性心不全になります。そして、頻脈性心不全の場合、多くのケースで腎不全も合併しています。脱水になっているので、腎臓にもダメージが及びます。
脱水による頻脈性の心不全は、入院治療をしても改善に難渋するケースがあります。そのため、水分・塩分摂取が多いことによって引き起こされる心不全よりより重篤になるケースが多いとも言えます。
心臓が悪い場合や心不全の既往がある場合、塩分は控え目が必要ですが、水分はある程度摂取することが必要になります。
心不全の診断を受けている場合、主治医とよく相談して夏場の水分量を設定してください。
時々、「自分は心不全だからなるべく水を飲まないようにしている」という高齢者がいますが、それは間違いです。必要な水分量というものがあります。
主治医とよく相談して水分摂取量を決め、その量は毎日しっかりと摂取してください。
時々、デパスの飲み方を聞かれることがあります。不安になったら飲んだらいいのか?定時で飲んだ方がいいのか?定時に飲んで、さらに不安になったら追加で飲んでいいのか?様々な相談を受けます。
当院の方法が正しいかどうかはわかりませんが、当院の方法としては以下のようにすることが多くなります。
まずは、最初の段階では、不安が強い時だけ飲んでください。という処方の仕方をします。そして10回分程度処方します。これで1ヶ月以上持つのであれば(週に2回程度内服)、今の飲み方を継続してもらいます。ただし多くは出さないことが多いです。理由としては、手元にデパスがあるとついつい飲んでしまうことが多いからです。実際、以前、10回分処方した時は1ヶ月以上持ったたため、次に30回分処方したら、1ヶ月ちょっとで全てを使い切ったケースがあり、理由を聞くと、手元にあったので、ちょっと不安があったら飲んでましたとのことでした。つまり、安易に薬を飲んでしまう傾向が強くなると考えられます。そのため、受診する面倒臭さ、手間というハードルを設けることにより、内服する回数をなるべく増やさないということを考え、10回で1ヶ月持つなら、10回分しか出さないことにしています。
ただ、その後、徐々に回数が増えていき、10回分で2週間持つか持たないかになった場合、飲み方を聞いて対応を変えます。一つは1日に2回飲んだけど、飲まない日もあった。すごく悪い日だけ多く飲んで、そのほかの日は飲まなくても済んだという場合は、同じ出し方をする場合もあります。場合によっては、漢方薬の併用をしてもらうケースもあります。デパスを飲んだ状態で、ちょっと不安があり、漢方薬を飲むとなんとかなるというケースも少なくありません。ただケースによっては、もう少し長く効く長時間型を使う場合もあります。そこは飲む頻度、次に飲むまでの時間等により選択が変わり、本人の希望等も考え、調整をします。
そして連日飲まないとダメだというケースではデパス0.5mg1錠でなんとかなっている場合では、デパスを連日1回で内服をしてもらうケースもあります。ただし、デパスを1日1錠内服し、そのほかに不安時に使うケースでは、デパスの短時間作用型の悪い面が出てしまっている(効果が切れて追加で飲んでいる)ような場合は、デパスを中止し、長時間型を使う場合もあります。
結局、ケースバイケースにはなってしまうのですが、連日、複数回のデパスが必要になった時点で、長時間型1錠に切り替えた方が将来的に薬を減量・中止しやすいと考えています。
デパス依存症になったケースでは、何が何でもデパスが必要!となるケースが多く、特に高齢者で多く見られます。
当院では上記のように状態により変化をさせています。ただ患者さんの状態により、また主治医の判断により変化はすると思いますので、デパスを内服していてどう内服したらいいんだろう?と思う場合は、まずは処方している主治医とよく相談してください。患者さんのことを一番よく知っているのは主治医ですので、まずは主治医の判断を仰ぐのがいいと思います。
「IDATEN世話人会による 新型コロナワクチン啓発ポスター第二弾」を作成しました。
最近、コロナのPCR検査について民間PCRセンターとして2000~3000円で検査をしてくれるところが増えています。これについて時々、質問を受けるので、個人的な見解を述べたいと思います。
この検査方法自体は悪いことではないと思っています。ただ、20検体、30検体を1度に検査をすることになりますので、感度は落ちると言われています。昔、献血された血液の中のウイルスを調べる際、この方法を用いて検査が行われました。当時は500検体をまとめていました。ただし、500人分を使うと1人あたりが希釈されるため、感度が落ちます。その後、50検体、20検体、そして現在は1検体ごとに検査がなされています。20検体でもウイルスのすり抜ける事があったことが理由です。
コロナの検査でも同様のことが言えると思います。ただし、先にも述べた通り、効率を考えれば悪い方法ではありません。例えば、流行後の次の波をとらえる場合などはいい方法だと思います。
一方で、飲み会に参加、感染者との接触歴がある場合などで、検体の希釈がなされる検査は避けたほうがいいと個人的には考えています。それは、検査センターがどの程度の希釈がなされているかがわからないからです。10検体なのか20検体なのか50検体なのか、100検体なのか・・。その辺りの情報について民間PCRセンターは公表していません。そのため、どこの民間PCRセンターなら大丈夫とか、そういうことはこちらではわかりません。
どの検査を選ぶかは個人の判断になると思いますが、より確実な検査となれば、費用負担は大きくなりますが感度がより良い、1検体ずつの検査を選択した方が良いと思います。
ここからはまた個人的な考え方になりますが、一般の方がなんとなく心配で検査を受けるなら、民間PCRセンターでもいいかもしれませんが、会社における検査や社会的に検査結果を担保する診断書が必要な方であれば、病院やクリニックにおけるPCR検査を受けることをお勧めします。
患者さんから「心臓が悪いけど、ワクチン打っても大丈夫でしょうか?」「ワクチン打って死んだ人が85人とか出ていますが大丈夫でしょうか?」という質問を受けます。
最初の質問については、「心臓が悪いからこそ、接種した方が良い」と説明しています。特に当院の場合、心臓疾患が多いことから、接種を勧めています。基本的に心臓疾患があり、重症化して人工呼吸器、ECMO等を使用した場合は、何も心臓疾患がない場合に比べてリスクは高くなるだろうと思います。
一方、今ニュースにもなっていますが、ワクチン接種後死亡が約90人ほど報告されています。データを見る限り、割と高齢者が多いことは言えます。確かに20歳代〜50歳代もいますが、80歳以上が約半数を占め、最高齢は102歳になっています。高齢者への接種が始まっており、数が増えたものと考えます。ちなみに接種後ではありますが、老衰と死因がなされている症例もあります。因果関係はないとされています。
今出ている症例を見る限り、因果関係が証明されたものはありません。
しかし、患者さんに「死んだり、副作用は大丈夫ですか?」と聞かれると、「疼痛、発熱、だるさ、頭痛等は起こりますが、基本内服でコントロールできるレベルと考えます。しかし死亡については絶対に大丈夫とは言えませんが、基本的には大丈夫だと考えています」と答えています。
その理由として、突然死自体が決して少なくないからです。日本では年間約8万人が心臓突然死でなくなっているというデータがあります。1日約200人に相当します。
また、脳卒中による死亡は、年間13万人程度というデータがあります。1日320人以上に相当します。そのうち、脳梗塞が半分を占めますが、脳出血、くも膜下出血で約半分を占めますので、単純に考えると160人程度が1日発生しています。
これらを考えると、ワクチンとの因果関係を証明することは難しいと考えられます。しかし、20〜30歳代で4人、40歳代も5人います。その人たちが一切ワクチンが関係ないかと言われると僕はわかりませんとしか答えられません。そのため、絶対に大丈夫とは言えないけど、基本的には大丈夫だと考えますという説明になります。
僕自身も接種しています。これは基本的には大丈夫と考えているからです。そして、風邪をひいた患者さんの診察もするので、感染リスク>>>>ワクチンリスクと考えて接種をしています。
あと一点、特に心臓疾患のある患者さんが多い当院では、βブロッカーを内服している患者さんはなるべく当院にて接種を勧めています。βブロッカーを内服している場合、アナフィラキシーショックのリスクが高いというデータがあり、また、アドレナリン製剤が効きにくくなります。特に当院の場合、βブロッカーを最大容量まで導入している患者さんも少なくないため、アナフィラキシーショックが起こった場合、βブロッカーを最大量内服していることを理解した上で、対応ができるため、なるべく当院での接種を勧めています。アナフィラキシーショックが起こった場合、アドレナリンが効きにくく、通常量のアドレナリン製剤では足りないと言われています。通常量の3-5倍程度必要というデータもありますので、注意が必要だと考えています。
メインテート、テノーミン、セロケン、インデラル、アーチスト等を飲んでいる患者さんでは、循環器内科かかりつけの場合は、かかりつけ医での接種が可能なら、少し待ってもかかりつけ医で接種を受けることをお勧めしています(大規模センターにもアドレナリン製剤は用意されていますので、基本的な対応は可能だろうと思います)。βブロッカーを内服していない場合は、大規模センターでも問題ないと考えます
成分として含むコロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチン
患者さんからワクチンは海外製しかないので、国産がでたら接種しますと言われることがあります。当院でも数人の患者さんがこのようなことをおっしゃっています。それはそれでいいと思いますが、ただ、少なくとも国産ワクチンは安全で海外製が危ないというデータはありません。というか、海外製の方がデータが豊富な分だけ、起こり得るリスクについては、対処がしやすいと考えています。
国産ワクチンを見てみると、ウイルスベクターワクチンはアイロムグループ子会社が製作しています。これは海外でも作られていて、J&Jなどのワクチンに該当します。違うのは使っているウイルスです。ただし、これもスパイクタンパクの遺伝子を組み込んだワクチンになります。なので、海外製(J&J)等と同じ部類に入りますので、国産は安全、海外は危険が成立するかどうかはわかりません。手法は一緒です。
次にmRNAワクチンになります。
これは現在主流で使われているワクチンになります。mRNAを体に入れて、細胞に取り込まれ、そこから液性免疫が誘導されます。また細胞性免疫も誘導されるとされています。
これはファイザー製・モデルナ製が日本で接種されています。日本では第一三共が作っていますが、結局は同じ手法なので、日本製は安全で海外製が危険という理屈は成り立たないように思います。
組換えタンパク質ワクチンというものもあります。これはウイルスの構成成分を昆虫細胞や植物、哺乳動物などから作りますが、アメリカのノババックス、中国のメーカー、日本では、塩野義製薬が開発をしています。これもやはり、同じ手法なので、海外が危険で日本製は安全という理屈が成り立つのかは不明です。
そのほか、他にも子宮頸がんワクチンにも使われている手法で作られるワクチンもあり、田辺三菱製薬の子会社が開発中です。
また、不活化ワクチンも開発をしていて、中国、インドの企業を中心に開発がされ、明治ホールディーング傘下の会社が開発を進めています。
あえて言えば、最後の不活化ワクチンはインフルエンザワクチン等でも使われている手法であり、安全性は一番高いのかもしれません。そのため、海外製が心配で・・・となると、不活化ワクチンが出るまで待つほかないと思われます。
個人的にはどのワクチンも将来の安全性を担保できているものはありません。そんな中で、不活化ワクチンは今までの実績を考えると、安全性は高いのかもしれませんが、欠点はウイルスを培養する必要があるため、かなり大変であり、大量に出回るにはかなり時間がかかるかもしれません。
また、当院でそれらを扱えるのかどうかもわかりませんので、現時点で、不活化ワクチンが出たら接種をしてくださいと言われても、お受けできるかどうかはわかりません。
先日、コロナワクチン接種後の胸痛について述べましたが、ワクチン接種後の動悸(不整脈)を主訴に受診されるケースもあります。ワクチンを接種した後に動悸を自覚するという感じで来院されるケース、また、実際に自分で脈をとると脈が飛ぶというケースもあります。接種翌日〜数日後に症状がでて来院するという方が多いです。
動悸感として来院されるケースでは、不整脈が出ているケースは多くはありません。どちらかというと洞頻脈(単純に脈が速い)というケースが多い印象を持っています。全員がそうというわけではありませんが、診察時にも動悸がしますといって脈を取っても不整脈が出ていないケースは多いです。
この場合、まずは心電図をチェックします。前回述べた、心外膜炎や心筋炎を疑う所見があるかどうかを評価するためです。通常、胸痛を伴うケースが多いのですが、胸痛をほぼ伴わずに、不整脈がメインの心筋炎もあり得るためです。また、心電図に異常がないから、絶対に大丈夫とは言えないため、その後、心エコーにて評価をするケースが多いです。
その上で、何もない場合であれば、あまり心配をすることはないと判断します。
今の所、動悸感で来院されるケースでは、脈拍以外に心臓に異常があったケースはありませんが、脈拍数が120-130回/分くらいの患者さんも存在はしているため、動悸感がとても辛い場合はβブロッカーを内服してもらい、経過を見ると楽になるケースがあります。
また甲状腺機能亢進症を疑うケースでは、甲状腺機能を採血にて評価するケースもあります。
一方、脈が飛ぶ等の不整脈の場合、考えられることとしては、もともと不整脈があったが、ワクチン接種により悪化したケース、もしくはもともとあったけど、気にならなかった(あまり気にならなかった)が、ニュース等で情報を得た結果、脈が飛ぶことが気になり始めたというケースと、もともと不整脈がなかったのに接種後に発生したケースです。
いずれのケースでもまずは心電図を行い、異常がないかどうかを評価します。その上で心エコーをして評価をします。不整脈が実際にあるケースでも、不整脈は出ているけど、さほど重篤な不整脈ではなく、かつ、心エコーで異常がない場合、経過を見ましょうというケースが多くなります。特にもともと不整脈があったというケースでは、あまり心配ないケースが多い印象です。また、ワクチン接種後に初めて脈が飛ぶというケースでも、大きな問題があるケースは今の所ありません。脈が飛ぶという不整脈の場合、基本、危ない不整脈の可能性は高くはなく、また心エコーで異常がない場合はほぼ、無治療でも予後は変わらないというデータがあるからです。
場合によっては、こちらのβブロッカーを内服してもらう場合はあります。
今の所、当院に来院される患者さんで危ない不整脈が出たり、エコーで心筋炎を疑うようなケースは認められていません。
ただし心エコーは大きな異常はないけど、不整脈はしっかりと出ているというケースがあれば、場合によっては、採血により心筋炎を否定すること、また、ホルター心電図で24時間の不整脈をチェックする場合もあります。これらの検査をするかどうかは、様々な結果を勘案して決定します。得られる結果から緊急度を判断し、採血等をして翌日再診をしてもらうケースもあります。
ただし、ワクチン接種後としては非常にレアケースではありますが、心筋炎や心外膜炎を疑う場合は全く違います。それらを疑った場合はすぐに、より大きな病院へ検査依頼をすることになります。場合によっては、即入院となるケースもあります。例えば心室性期外収縮が多発したり、さらに危ない不整脈が出ている場合で、心筋炎が疑われるケースでは、ICU(CCU)を持つ入院管理ができる病院へ依頼することになる可能性が高いです。
これらの判断は循環器専門医を持つDrであれば、判断は可能だと思います。
ワクチン接種後に動悸を自覚する、脈が飛ぶのを自覚する場合は、かかりつけ医を受診するか、循環器専門医を受診ください。動悸後に意識がなくなるなどが一回でもあれば、すぐに循環器専門医を受診し検査を受けることをお勧めします。
・ アモキシシリンの投与量は添付文書で「1 回 250mg を 1 日 3~4 回 ..
ワクチン接種後に胸痛、胸部の違和感等を訴えてこられる患者さんが増えていますが、ワクチン接種をしていなくても、胸痛、胸部の違和感にて来院される患者さんも増えています。
通常、春になると胸痛、胸部の違和感を訴えて来院される患者さんは増える印象があるのですが、今年は秋にも同じ傾向が見られています。
明らかに痛いというよりは違和感〜痛みの間くらいの方が多いです。中には本当に狭心症の方もいらっしゃるので、精査は必要になりますが、痛みがでる状況、時間帯、痛み方等から専門医であればある程度、狭心症、心筋梗塞、心外膜炎等の除外が可能です。
当院も心臓が専門ですので、同様の訴えで来られる方はいますが、本当に心臓の病気が原因というケースは必ずしも多くはありません。胸痛の訴えが出る疾患はいくつかあります。
若い痩せた男性の場合は、「気胸」の可能性の方が高いかもしれません。 肺に穴が開く病気です。胸部X線にてある程度診断が可能です。当院でも2-3年に1人程度は「胸痛」を主訴に来院されます。気胸の場合は、病院に入院をお願いすることが多くなります。
他には食道・胃の疾患の方もいらっしゃいます。心臓が痛い!と訴え、他院で調べてもらったけど、心臓はどこも悪くないと言われたけど、痛いのは胸だ!といって来院されるケースもあり、確かにどれを調べても異常はないというケースでは食道・胃の疾患が原因というケースは多くあります。実際、当院では、胸が痛いと言ってきたケースで異常が全く見つからない場合、胃薬を試すケースもあります。そして、それにより胸痛が消失するケースは少なくありません。ストレスが多かったり辛いものが好きだったりするケースで、胃酸が多く出すぎているケースがあります。
ただ、僕が試しに胃薬を試しましょうというと、「痛いのは胸なんです!」って訴えられる患者さんがいるのは事実なのですが、急性心筋梗塞という心臓にある冠動脈という心臓に酸素や栄養を送っている血管がつまり、心臓の筋肉に酸素が届かず心臓に痛みが出ているケースであっても、胸が痛いと言わずに、「左腕が痛いです」「左の歯が痛いです」「左の肩・首が痛いです」等の訴えで来院される場合もあり、心臓の血管が詰まって痛いのは確実に心臓だけど、でも、脳が痛みを感じているのは「左手」ということもあります。これらを考えると、胸が痛いと思っていても、実は胃が痛いということもあり得るということです。
そして同意をいただいて胃薬を飲むと、7割くらいの患者さんで改善が得られる印象があります。ただ1回飲んだだけでは改善があまりわからず、2週間くらい内服をしてもらい評価することが多いです。3日くらいではあまり効果がないと言って再度来院されるケースがありますが、2週間程度使ってもらうと「やっぱり違います」となることが多いため、2週間程度は使用をしてもらいます。
となると残りの3割くらいは何が原因なのか?ということになります。
あとは大動脈の疾患であったり、肺の疾患であることはありますが、通常、高血圧、高脂血症、あとはタバコ等の原因となり得る何か別の疾患が並存します。あと高齢者では肺炎、肺がんによる胸痛で来院されるケースもありました。
一方で、若い人のケースでは、心臓は一切異常はなく、肺の疾患もなく、持病もなく、痛みの原因となり得るものはないというケースでは、胃薬で軽快するケースが多いように感じています。ただそれでも改善しないというケースは存在しますが、通常、一つの疾患では説明できないような症状を訴えるケースがそれに該当します。
その場合、もっと全身的な疾患を考えるケースもあります。その中で多いのは自律神経失調症といわれるものが挙げられます。個人的には、胸が痛いと感じたら、まずは循環器内科で診察を受け、そこで「異常はない」と言われたら、まずは一安心をしていただき、その上で、もし近くに総合診療科があれば、受診することをお勧めしています。場合によっては、精神科(心療内科)への受診を勧めることもありますが、他の内科的疾患の除外等も含め、総合診療科での診察を勧めて紹介をしています。
時々、自分はそんな病気じゃないといわれる方もいらっしゃいますが、診断はリスクの高い疾患ならびに可能性の高い疾患から除外をしていくのが通常の治療になるので、胸が痛い、苦しいことに固執せずに心臓が悪くなくても心臓が痛いと感じることはあるのかと考え、心臓の病気が除外された時点で、総合診療科等の受診も検討した方がいいと考えています。
こういう内服薬を飲んでいますが、ワクチンは可能でしょうか?という質問を受ける場合があります。ノルバスク等の降圧剤やクレストール等のコレステロールの薬は大勢飲んでいますので、当然、同様の質問が増えます。
結論から言うと、現時点で、この薬を飲んでいるからワクチンは受けられないということはないと考えています。少なくとも、一般に処方されている降圧剤は当院でも多く使っていますが、ワクチン接種ができないことはなく、また、接種後にアナフィラキシーショックなどの大きな副反応が出たことはありません。高脂血症の薬も同様ですし、他の薬についても同様です。つまり、内服している薬を見て、ワクチン接種ができませんという返事をしたことはありません。
また、質問が多いのがデパス(エチゾラム)ですが、安定剤を飲んでいるから接種ができないケースもありませんし、ワクチン接種後に強い副反応が出たケースもありません。
内服薬によるワクチン接種の制限は現時点ではほぼないと考えています。もし気になる場合は、担当医に相談してください。基本は大丈夫だと思います。
2歳未満のヒブによる急性中耳炎や重症急性中耳炎には10日間の抗菌薬(アモキシシリン)の経口投与を行います。 予防法は
コロナウイルスが新潟市内も蔓延しています。オミクロン株の特徴としてデルタ株とは違うところを少し述べてみたいと思います。
ニュースでも出ていると思いますが、症状は圧倒的に軽いようです。ただ若い人の感染者が圧倒的に多いため、今後、持病のある高齢者が感染した場合、本当に軽症で終わるのかどうかはわかりません。
また、クラスターの発生が多い印象があります。職場、飲食店、学校、家庭等、今までより感染力が強くなったことに伴い、集団感染が増えているように感じます。ただし、家庭内でも一人感染したら全員がなっているのか?と言われると必ずしもそうとも限らないです。デルタ株では5人家族で一人感染し、家庭内感染でもう一人感染者が出ていたものが、もう二人出ているという感じです。
感染力が強くなったことで、昼食や喫煙所などでの接触で感染が増えている印象があります。そしてマスクが十分にできない職場や学校でも増えている印象があります。
あと、感染から発症までの期間も短い印象があります。以前はデルタ株の時は4-5日経過してから症状が出ていた印象がありますが、今は1-2日で症状が出ている人もいます。発熱に関しては感染後2~3日で出る人が多い印象です。
もしコロナ感染者と接触をしてしまい、心配な場合、まずは3日間は自宅で経過をみてもらった方がいいと思います。その上で、その間に症状があればそのまま医療機関でPCRを受けて確定診断をしてもらう方がいいと思いますし、無症状であれば無料のPCRセンター等でPCRを受け、陰性を確認した方が安全だと考えます。新潟の無料PCRセンターもありますが、若干混んで時間がかかるようです。もし費用がかかっても早く知りたいという場合は、当院でPCRも可能です。
[PDF] 11.牛RSウイルス病の対策と管内農場における抗体検査
急性上気道炎(かぜ)の原因はウイルス(アデノ、インフルエンザ、ライノ、コロナなど)であり、細菌ではないため抗生剤は効果がありません。不要な抗生剤の内服は、効果がないところか、体内に薬剤耐性菌を誘導してしまう恐れがあります。薬剤耐性菌を保菌していると本当に抗菌薬が必要な時、例えば手術や菌血症などの重症細菌感染症にかかった時に、抗菌薬が効かなくて治療に難渋します。世界的に多剤耐性菌が出現し、効果のある抗菌薬の種類は減っている一方で、新規の抗菌薬の開発は限界にきているともされています。いまある抗菌薬を適切に使用して、耐性菌を作らない取り組みがクリニックなどの日常診療でも必要です。実際、小児科の外来では、抗生剤を使う場面は限られています。薬剤耐性菌からお子様を守り、無用な薬剤耐性菌を作らないためにクリニックでは、抗菌薬は、本当に感染症が疑われるときのみに限定して処方するようにしています。
接種し、抗体の動向をみると、ワクチン効果が認められる抗体価の上昇や、ワクチン効果.
当院もコロナのPCR検査をしているため、感染し自宅療養解除後も具合が悪いという方が来院されるケースがあります。
ただ後遺症を訴えるケースは必ずしも多くはありません。実際、コロナに感染してもほとんど症状もなかったという患者さんもいますし、ちょっと熱がでて風邪症状があったけど、2-3日で改善したという方もいらっしゃいます。一方で、自宅療養を終えたけど、倦怠感が続く、咳が止まらない、なんとなく具合が悪い等の訴えで来院される方もいらっしゃいます。
他のウイルス感染後に倦怠感が続くというケースはありますし、咳が続くというケースもありますので、必ずしもコロナワクチンに特有というわけではないのかもしれません。
何れにせよ、上記のうような症状が長く続く場合は、一度相談いただけたらと思います。
あとは精神的な落ち込みを自覚される方もいらっしゃいます。心療内科等への相談も効果的かもしれません。内科で改善できない場合は、心療内科等へ紹介することも可能です。一人で落ち込まず、かかりつけに相談ください。
まずは「1次除菌療法」です。 使用する薬剤は・タケキャブ・アモキシシリン・クラリスが朝夕セットで7日間継続内服をします。 ..
ニュースでもコロナワクチン3回目が話題に出る日がありますが、患者さんからも3回目についての相談を受けます。最初は「おかむら内科下町クリニックでも3回目をやりますか?」という相談ですが、当院でコロナワクチン接種をした患者さんについては、当院で責任を持って3回目の接種を行います。そのため、3回目を違うところで接種する必要はありません。
あと3回目必要ですか?という質問も受けますが、こればかりは正直、なんとも言えないと思います。ただ、欧米でまたコロナの流行があること、上ですが、ファイザー製ワクチンを3回目接種すると中和抗体が高齢者で11倍以上に上がることが示されています。またイスラエルのデータですが、3回目の接種をした場合、接種していない人との比較では11.3倍感染予防効果があり、約20倍重症化を防いだとのデータもあります。
これらを勘案すると、個人的には高齢者はやはり3回目の接種をした方がいいと判断します。
そして、ファイザー製ですが、副反応は2回目と3回目では大きな差はありません。ただ2回目に強い副反応が出た人はやはり次も出る可能性はあると考えられます。若い人はどうなんでしょうか?という質問を受けたり、2回目の副反応が強かったので、3回目受けなくてもいいですよね?という質問をもらうこともありますが、そこに関してはデータ上、なんとも言えません。ただ、今後、海外が旅行者、ビジネスマン、留学生などの受け入れが始まった場合は、ワクチン接種済み証明書を要求されると考えられますので、もし自分がそれらに該当すると考えられる場合は、3回目の接種も通常通り受けておいた方が安全かもしれません。
5歳以下の小児だとアモキシシリンまたはアモキシシリン/クラブラン酸が通常選択すべき薬剤です。 ..
アレルギー反応の症状は、軽度の発疹や蕁麻疹から重度のアナフィラキシーショックまで幅広く、投与開始直後から数日後まで様々なタイミングで発現する可能性があり、患者さんや家族への十分な説明と緊急時の対応方法の指導が不可欠です。
インフルエンザ・コロナ・肺炎球菌ワクチンの任意接種・定期接種に関するお知らせ.
今回も最近の治療というよりはお願いというレベルのお話になります。今年は梅雨明けも早く、暑い日が続いています。今日7月15日は大雨もあり、涼しいですが、それまではかなり暑い日が続きました。しもまち地区は海が近いこともあり、夜は涼しい風が吹くため、夜は窓を開けて寝ているという方も少なくないと思います。先日までの暑さでは、日中に建物自体が熱せられて熱を蓄え、風が吹いて体感気温は下がっても、建物の中に熱を放出してしまい実際の気温は下がらないケースもあるようです。
実際、朝起きてから具合が悪いと来院されるケースが散見されています。また、中には発熱して来院されてくるケースもあります。例年であれば、「熱中症ですね」といって点滴をしてあげられるのですが、今年はコロナが多くなってきていて、コロナと熱中症の見分けが正直つきません。そのため、患者さんから「コロナは大丈夫です」と言われても、「そうですか」というわけにはいきません。あくまで感染防止を最重要に考えて対応せざるを得ません。当院はリスクのある患者さんを別室で長く点滴ができる構造ではありません。そのため、コロナの検査をして、帰宅してもらわざるを得ず、あとは帰って水分をいっぱい摂取して休んでくださいという指示しかできません。一部の医療機関を除き、多くの医療機関で同様の対応ではないかと思います。そして僕自身、どこの医療機関であればコロナかもしれない患者さんに対応し、点滴までしてくれるかはわかりません。
そのため、今年の夏は、朝起きて活動するまでエアコンをつけ、26度〜27度、寒くてダメという声も聞きますので、高くても28度程度に設定し、寝てから起きて活動するまでつけ続けていただけると、朝起きた時点での熱中症は回避できる可能性が高いと考えています。
実際、当院の上にある老人ホームさんは全室エアコンが付いていて、介護士や看護師が温度調整をしています。そこの患者さんたちを診察して10年以上経ちますが、今まで朝起きて熱中症や脱水というケースはありません。平均年齢90歳を超える施設でもエアコンさえつけ、その中にいれば安全ということができます。
お年寄りで「エアコンは体に悪い」と考えている方が少なくありませんが、少なくとも、現在の日本における夏の暑さを考えると、エアコンの中にいないことの方が体に悪いと考えて間違い無いと思います。
コロナの兼ね合いもありますので、今年の夏は朝起きるまでは確実にエアコンを切らずにつけたまま寝てください。
アモキシシリン三水和物 Amoxicillin Trihydrate
溶連菌感染に伴う発疹(文献1,2)は,菌が産生する発熱毒素(発赤毒素)であるstreptococcal pyrogenic exotoxin(SPE)-AやSPE-Cが関与しています。これらは細菌性スーパー抗原であり,特定のVβ領域を持つT細胞レセプターとMHC(major histocompatibility complex) classⅡ分子を結合することでT細胞を活性化し,炎症性サイトカインを産生させます。A群溶連菌が感染局所で増殖し,産生された毒素が血流により全身に運ばれ,皮膚に発疹を生じさせると認識されています。
通常,発疹は第2病日頃に出現し,次第に淡紅色の紅斑がびまん性紅斑となり,猩紅熱様の経過をとります。一方,最近では典型的な猩紅熱様の発疹は少なく,淡紅色の紅斑性丘疹が一過性に出現するものが多くあります。また,発疹の生成機序として,過去にA群溶連菌の菌体成分に感作されている個体における,菌体成分に対する遅延型皮膚反応の関与も指摘されています。
A群溶連菌感染症に対する抗菌薬療法として,アンピシリンの10日間投与は標準的な治療法(文献3)ですが,経過中に遅発性発疹がみられることが報告(文献4)されています。発疹は治療開始後約10日で出現し,全例でアモキシシリンが投与されていました。さらに,溶連菌による咽頭炎患児にアモキシシリンを投与し,発疹の出現を検討した前向き研究(文献5)では,発疹がみられた症例の約1/4は抗菌薬投与終了後に出現していました。アモキシシリン投与群とセフェム系薬投与群で,発疹の出現率は同様でしたが,アモキシシリン投与群では,より多彩な発疹が観察されました。
(1)ご質問の症例は,上記の遅発性発疹に類する病変と考えられ,発疹に関するアモキシシリンの関与が推察されます。感染症が契機となり,薬剤アレルギーとしての薬疹を発症することが認識されています(文献6)。ほとんどの薬疹は,T細胞が関与する免疫反応です。皮疹はT細胞が薬剤に関して感作されるのに必要とされる7~14日(平均9日)の期間を経て出現しますが,発症までの期間が極端に短い場合や,薬剤誘発性過敏症候群のように発症まで数カ月を要する場合があります。表皮障害の程度は,反応するCD8陽性T細胞数や機能に関連します。アモキシシリンによる薬疹の病態においても,薬剤反応性T細胞の機能が臨床像に反映されるものと理解されています(文献7)。
(2)これまでの報告では,重症の経過をとった症例は見当たらず,抗ヒスタミン薬内服,ステロイド・抗ヒスタミン外用薬の投与で軽快しています。